2016年9月期、ニュージーランドにある全住宅の総価値が、初めて1兆NZドルに達しました。これはニュージーランドに住む人々にとっても驚くべきことです。ニュージーランドの住宅価値は、この先も伸び続けるのでしょうか? 今回は、伸び続けるニュージーランド住宅価値の「年間成長率」を具体的に見ていきます。
2011年から安定的に上昇している「年間成長率」
ニュージーランドには、1兆NZドルを超えるほど価値のあるものはあまりありませんが、新たな指標では、9月期には全住宅の総価値が初めて1兆NZドルに達しています。
1兆10億NZドルを付けたニュージーランドの住宅価値は前期よりも4%上昇しており、2015年の同期からは16%または1,394億ドル上げています。
[図表1]住宅の総価値(単位:百万NZドル)
この16%という成長率は、2003年の成長率が31%のピーク到達時以来、そして2005年の12月期以来、最も高い年間成長率です。
ニュージーランド準備銀行が発行するコアロジックデータによれば、年間成長率は下降線を辿った2011年以来、安定的に上昇しています。
[図表2]住宅価値の年間推移(%:年間単位)
異なる視点からこのデータを見れば、9月までの1年間で住宅価値が週平均で27億NZドル上昇していることになります。これは昨年の成長率である週平均23億NZドル、および2014年の成長率である7億790万NZドルを超えています。
一方で、販売件数は20%のダウン
住宅価値が伸び続ける一方で、9月期の住宅販売件数は20%の落ち込みをみせました。前期の2万9,484件から2万3,710件に落ち込み、過去2年間で最も少ない販売件数となりました。
住宅販売件数のピークは2003年12月期の39,800件で、2005年にも2度ほど急上昇する場面がありました。
[図表3]四半期ごとの住宅販売件数
昨年から始まったローン貸し出し規制による影響で、全体の住宅販売件数は減少しましたが、住宅価格は上昇しており、中でも、リーズナブルなオークランド近郊の住宅が活況を迎えています。それらが、全体の価値を押し上げている要因と考えられます。
インフレが続くニュージーランドは、不動産による資産形成がわかりやすく、最も好まれる投資と言えるでしょう。
Author Profile
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1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。
1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。
現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表として活躍中。
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