郊外の急激な都市化や移住の増加によるオークランドの住宅建設のブームは、校長と教育委員会に独特の課題を提示しています。
ニュージーランドでは、人口増加によって住宅に続き学校スペースが不足していて、商業ビルディングのスペースをリースすることによって教室確保を試みるほどなのです。
政府も動いた 学校施設の不足
人口の増加から、教育省は今後30年間にオークランドで107,000人の学生を収容するスペースを見つけなければならなくなりました。
学校のスペースを最も必要とする地域には、ニューマーケットとマウントエデン、シュヴァリエ、ウェストミア、マウントアルバート、タカプナ、アルバニー、イーストコーストベイ、ハウィック、パパトエトエが挙げられます。
こういった学校施設の不足に対して政府も対策を講じました。
2015年にはニュージーランド全体の校舎を上に引き上げて面積を大きくするか、横に面積を大きく拡大するかの2つの選択肢に対して建築許可がだされたのです。
この建築許可により、2014年の4億4,400万NZDであった教育関係の建物価値が、2015年には11億ドルに上昇したといいます。
教育機関の建築価値が1年で10億ドルを超えるのは初めてのことです。最大の増加は、高等教育機関で、クライストチャーチに多く見られました。
2015年の教育用建物の建設意欲が最も高い地域の投資額は、カンタベリーが4億2,000万ドルを投じ、オークランドが2億6000万ドル、ウェリントンが1億7,800万ドル。
合計11億ドルのうち、70%は新築用、30%は既存の建物の改修用でした。
2016年、首相のビル・イングリッシュが当時財務大臣の際、ウェリントン商工会議所に対し、子供たちが増えた際は、教育省は教室をさらに建設しなければならないと語りました。
首相は、「これら以外には選択肢がない」とさえ語っています。
同省によると、選択肢としては、
①既存の建物に2階部分を増築する
②学校区域を改定する
③近くの商業ビルを賃貸する という3つのみとのこと。
昨年、教育省は、資金援助を行える学校数をはるかに上回る26の新学校への申請を受けました。
「小規模な学校運営の資本維持管理プロジェクト」から「数百万ドルの再開発と新しい学校の建設」に至るまで、何千もの学校不動産プロジェクトが現在進行中です。
「建てる」以外の供給方法
学校の敷地に隣接している、もしくは学校のすぐ近くにある商業ビルのリースも一つの選択肢とされています。
教育省のインフラサービスグループの責任者、ジェローム・シェパード(Jerome Sheppard)は、「新しい学校施設を作ることは、野外にも十分な土地を必要とする。また、学校にとって長期的な投資であるため、これらの決定を慎重に計画していく。」と語っています。
しかし、全国の商業施設を様々な理由で賃貸しているというのが現状です。
クライストチャーチにあるAo Tawhitiでは新しい学校が建設されるまで、教育スペースとして商業用不動産をすでに賃貸しています。
商業施設を賃貸して教育スペースとして活用している大学の代表例はDilworth Schoolです。
2009年、EpsomとRemueraに設置されたキャンパスに続いて、オークランド南部のMangatawhiriにあるDu Vinホテルを農村部のキャンパスに改装する予定で購入しました。
農村部のキャンパスとなったDu Vinホテルは、学校に必要なインフラや構造の面で、3番目のキャンパスとして適していたと農村部キャンパス長のJohn Rice氏は述べています。
それでも住宅が最優先
オークランドの中心部とウェリントン周辺のアパート開発の急増は、学校の需要を高めることになりました。
しかし都心部の学校は、商業施設確保のための激しい競争に直面しています。 それは、学校は広い空間を長時間に渡ってリースすることを希望していても、家主はマンションやホテルに改造するなど、他の方法でスペースを開拓したいと思う可能性があるからです。
ただでさえ高い土地や建物の建設コストの中でも、学校施設は非常に高コストです。学校を商業施設まで拡張するような状況でも、政府が土地を持っていれば優先順位は住宅の建設が上だと考えられています。
まだまだ続く嬉しい悲鳴
以前、ニュージーランドの住宅不足の記事はお伝えしましたが、オークランドの人口過多は、利用可能な土地の不足のために不動産業界にこういった変化を与えているのです。
最近では、ニュージーランドは留学先として大変人気です。これは保護者ビザが一役買っているのかもしれません。アメリカなどへ留学する場合には認められないこの保護者ビザは、17歳以下の子供が留学した際に保護者(片親のみ)や親族など1名が付き添いとして発行を許されるビザです。
こういった点からもニュージーランドの移住先としての人気はまだまだ衰えそうにありません。
そのため、当分は実需としての不動産不足が続き、海外不動産の中でもニュージーランドは特に、移住人気国としての嬉しい悲鳴が続きそうです。
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