6月末に開催されたオークランドで開催された「ニュージーランドビルディングショー」では、最新の建築技術の紹介や専門業者向けのセミナーが行われ、大変興味深いイベントとなりました。本記事では、ニュージーランドビルディングショーの様子とともに、これから冬を迎えるニュージーランドの不動産動向を紹介します。
最新技術の情報が取得できる、専門家向けのイベント
6月末、オークランドのショーグランドにて「ニュージーランドビルディングショー」が開催されました。これは一般人向けというより、専門家向けのイベントです。この展示会場では建設業者向けのセミナーも開催され、プロフェッショナルたちにとっても、最新技術の情報が取得できる有意義な場となりました。
イベントの展示物は、業者用が取り扱っている建築材料や関連パーツの最新情報のほか、基礎となる地盤を整える最新技術の情報がメインです。遠くはドイツ企業の参加もありますが、ニュージーランドはもともとイギリス系の国であるため、ヨーロッパの最新技術を多く取り入れている印象です。
ご存知のように、ニュージーランドも日本と同様地震国です。ニュージーランド不動産に関心がある日本のお客様には、耐震性強化はどうなっているのか、しっかり行われているのか・・・とよく聞かれます。実際、日本と比較してどれくらいの技術があるのか、興味を感じるところだと思います。
今回のイベントで紹介されていた耐震に関する技術や、ニュージーランドならではの建築技法について、いくつか簡単にご紹介していきましょう。
①地盤への対応
ニュージーランドでは、土地を購入したあと、まず最初に地盤の緩さを確認します。緩ければ緩いほど地盤強化をしなければならず、それによって整地の費用が変わります。地盤強化の方法としては、コンクリートの注入をはじめとする複数の技術がありますが、業者の多くが売りにしているのは「工期の短さ」です。
②家の外壁工事
隣国のオーストラリアでは、レンガを使った外壁が多く、全体的に茶色の住宅が多いなか、ニュージーランドではウェザーボードが人気です。重ねた板に白を基調としたペンキを塗ることで、自然な木目が現れます。それにより、いかにもニュージーランドの住宅らしい建築物に仕上がります。
③建築作業現場でのハイテク技術活用
高層ビルとまではいきませんが、3階建て住宅の建築が珍しくなくなってきたオークランド近郊では、職人の手による工事だけでなく、現場ではロボットの活用も積極的に行い、作業の効率化をはかっています。
ニュージーランドのお国柄感じられる、伝統的な技法も依然として使われてはいるものの、ヨーロッパをはじめとする海外の技術を積極的に取り入れているのが印象的でした。ニュージーランドは最新の医療技術を積極的に取り入れているのですが、それと同様に、建築技術も常に新しいものを追い求めているという印象を強く持ちました。
残念ながら日系企業のブースはありませんでしたが、今後、日本企業はニュージーランドにおいて、耐震面での技術アピールのチャンスがあるといえるのではないでしょうか。
2019年6月のオークランドの不動産販売価格状況
このところ、価格が下がり気味のオークランド不動産ですが、6月は、対先月4.4%上昇の91万4,050NZドルとなりました。それとは反対に、ワイカト地方は4.8%の下降、59万6,633NZドルとなりました。
現在、オークランドは冬へと向かっており、不動産市場は閑散期です。外国人規制がどのように影響するのか等、世間はまだ外部から様子を探っている感はありますが、毎週末のオープンホームの訪問者数を見る限り、決して「閑散」とはしておらず、日々活気が感じられます。
かつてのような派手で勢いのある売買は見られなくなり、動きは穏やかなものですが、マーケットに出せば6週間で売り切れるという現場の状況を目の当たりにすれば、人々の不動産投資熱は未だ途絶えていないと思われます。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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