現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 91.87 USD 0.593 2024年04月25日 01:08 AM  更新

ニュージーランドで「中古物件」が人気を集める理由

2016年9月2日

連載コラム 一色 良子

中古物件 改装 物件

物件価格がロケットのように上昇しているニュージーランドでは、金銭的負担を抑えられる「中古物件」が今人気を集めています。今回は、中古物件の活用事例を見ていきましょう。


使える設備等はフル活用し、改装費用を節約

前回、ニュージーランドの不動産価格はロケットのように上昇中と説明しましたが、それは国際都市オークランドだけではなく、すぐ南に位置するワイカト地方、海沿いの都市タウランガも同様です。

オークランドでは、新築物件の価格は、地域に関わらず100万NZドルを超えるものがほとんどです。

そんな中、ますます中古物件への注目度は高くなっています。築20〜30年は平均的な築年数ですし、たとえ築50〜60年でも住みたいと購入する方は多いようです。

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レトロなキッチン、バスルームは懐かしさがありますが、水と湯が別々の蛇口であったりと、冬は非常に使いにくい構造となっています。蛇口や湯沸し器、暖房器具のみ近代的な設備に替える方もいますが、やはりキッチン、バスルーム、床を丸ごと交換して、新築同様に暮らすのが最も快適でしょう。

上手に暮らす方は、中古物件を購入して、全体の家の枠や水道線などを保持し、部品や設備を一新します。元々の基礎を使うことによって、建築費の節約が可能となるのです。

 

中古物件の改装は苦労も多いが・・・

さて今回は、家の基礎と枠だけを利用し、内装を大改装した築37年の木造住宅物件を紹介したいと思います。4つのベットルーム、リビング、ダイニング、ガレージの部分に部屋が1つという構造となっています。

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元々この家には、ガレージと部屋の間にスパ設備がありました。まるで古い五右衛門風呂のような出で立ちです。

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その隣にはバーが設置されています。1980年代の物件ですから、豪華な設備を持っていると言えます。

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ここテアロハは、オークランドから南へ90分程度の田舎街ではありますが、温泉が出る地域です。そのため改装業者の方に内部見学に行ってもらったところ、すかさず「温泉のある家です。お薦めです!」と言われ、筆者自身、日本の方にはぴったりのお家だと喜んだものでした。

ところが、筆者自身で見学に行くと湯沸し器を発見。残念ながら温泉で沸いているスパではないことが分かりました。建築記録を確認すると、このスパの認可がないことも判明。

近代的なスパを設置するほど豪華な作りにしたところで、賃貸費用はそう多くは取れません。レトロなバーも残したい気はしましたが、やはり古すぎたため、結果的にこのガレージ部分のスパを壊すことになりました。

コンクリートが固いため、壊すにもスパを設置するのと変わらない費用がかかると言われびっくりしましたが、認可が下りていない設備があると売買に影響しますので、無念ですが壊す方を選択しました。

ここでさらに問題が。改装内容を決め工事を進めようとした矢先、電気が通じていないことが発覚したのです。早速電気会社に開設依頼をしたところ、半年以上開通していないので現場検査がいる、検査したら一部線を交換しないといけないと言われ、数日待たされる羽目になりました。

数日後、電気会社より電話がありました。3人いる技術者が全員風邪で寝込んだので、仕事量がさばけない、もう3日待ってくれという要望・・・田舎なので、人手がないのです。

建築日程を大きく変更せざるを得ない事態となりましたが、解体業者は電気なしでも作業できると言ってくれました。寒い中、お茶も沸かせない状況で3日間作業を進めてくれ、大変助かりました。

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どんどん内装がはがされ、改装されていく姿は圧巻です。70年代、80年代のレトロな雰囲気から、近代的な設備に変わる瞬間は何とも言えない心地良さがあります。そして、今近代的だと思っている設備が次の世代にはどうなっているのか・・・時代はどんどん変化していくことでしょう。

先日も、筆者はペンキの色や、キッチン設備のメーカーなどについて打ち合わせをしていました。これがマイホームだともっと悩むのだと思いますが、投資物件の改装工事では予算が決まっているため、希望通りに進めると予算が跳ね上がります。

しかし、日本人の大工さんは要領を得ているため、掘り出しものの機材をうまく仕入れ、色合いをマッチさせ、住む人と家主のために知恵を絞ってくれています。

まだ、工事途中ですので出来上がりをお見せできませんが、また別の機会に、完成内容を報告したいと思います。

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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