【連載192回目】〈NZ不動産〉銀行金利7~8%、住宅平均価格100万NZドル超の厳しい状況…投資家の動きは?【現地バイヤーが解説】
2024年2月16日
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そろそろ秋の空気を感じるニュージーランドのオークランドですが、住宅価格は一時期よりやや下がったものの依然100万NZドルを超えており、依然として一般の購入希望者には厳しい状況です。現地のベテランバイヤーが解説します。※本記事は、2024年2月5日現在の情報に基づいて執筆されています。
12月の実績、オークランド地区の平均販売価格は105万NZドル
大学生を中心に、学校がまだお休みということもあって、ホリデーモードが漂うオークランドは、朝夕のラッシュを見る限り働く人は稼働しているものの、まだ日常は100%戻ってきていない雰囲気です。
そして、今年の夏は蒸し暑く、寝苦しい日々が続いていました。しかし、多くの家庭ではエアコンをつけておらず、わが家もエアコンはリビングのみで、寝室にはありません。なぜなら「暑い、暑い!」といっていたのもつかの間、いつの間にか涼しく、快適な気温が戻ってくるからです。青天の日中はまだ暑さが残るものの、風が出るとさわやかで、日も短くなり、秋を感じます。
そして、ビジネスのほうも大変でした。年末ギリギリまで契約交渉を行い、第一弾となる条件付き契約が成立後、1月後半には契約の完全成約で安堵したものの、それ以外も問い合わせのメールや電話はひっきりなしで、ホリデーどころではない新年のスタートでした。
2023年12月の実績データでは、オークランド地区の平均販売価格は105万NZドルとなり、一時期の125万NZドル台よりは下がりましたが、100万NZドル越えとなれば庶民には厳しい価格です。
今回の契約のうち、100万NZドル以下で成立した価格帯は、80万NZドルの前半、それも部屋数が4ベットルームある家族型物件でした。ファーストホームバイヤーに人気なうえ、投資家にも運営しやすいということで、絶え間なく問い合わせが来る状態です。
「買い手が出て、現在契約成立待ちです。別の物件が出たら連絡しますね」と伝えると、ちゃんと私が伝えた期日を覚えていて、その日の夕方に、状況確認と、購入の可否について再度電話がかかってくるほど、多くの方の興味を引いた物件でした。
銀行金利が7%~8%台と高いいま、100万NZドル以上の価格帯はなかなか買えません。共稼ぎで無理なく、あるいはなんとかローン返済できるラインが、この80万NZドル台なのだと思います。
もっと価格が低い70万NZドル台でも物件はありますが、やはり手狭です。買い手のほうも「懐が厳しくても、低い価格帯の狭い家は買わない」という意志の固さがあり、売り手と買い手それぞれの立場を考えて仲介するわれわれ営業マンは、セールストークの難しさに頭を悩ませています。
しかしながら、銀行金利は少しずつ低くなり、移民の数も今後増えるという見込みから、住宅不足の可能性を想定し、鋭く先手を打つ人もいます。新年ということもあり、投資活動をスタートする流れが出ているのです。
オークションで成功しなくても、その後に条件付きでオファーが出て、結果的に売買成立となることもあります。不動産業界はとにかく多忙です。
働き方の変化に垣間見えた、ビジネスの新潮流
新年、会社からビジネスプランの提出を求められ、われに返って今年の目標を作成・発表して心を奮い立たせていましたが、新人セールスマンは息子ともいえる年齢差です。しかしこの地では、年上を敬う気持ちはあるものの、基本は実力主義であり、日本ほど先輩後輩の区別はありません。若い新人セールスマンとフランクに話していると、年齢差を忘れてしまいます。
とはいえ、時代の流れを実感したのは、働き方の変化です。
不動産業は基本的に自営業であり、会社に雇用されて営業するのではなく、自分が社長で自立して営業を行います。アシスタントを雇う必要があるほど数をこなす場合はチームを組みますが、1人でハンドリングできる範囲なら自力で営業をするのです。
そんななか、いまどきの人達は、ウーバードライバー、ウーバーデリバリーを行うほか、通勤もせずにネット環境とパソコンだけで対応できる仕事につき、高額ではないものの、日々収入を得ています。
携帯で通信しながらタクシードライバーのように活動し、出前の配達もこなすなかで、お客さんとして出会った人との会話からビジネスチャンスをつかみ、発展させるという、一石二鳥の仕事ぶり。車の運転は必要ですが、このような出会い方や、このような手法で営業ができるものなのかと、感心しきりです。まさに時代は変わったのでしょう。
われわれの営業は、いろんなところに顔を出し、資金と投じて広告を出し、ときには家々を巡り、販売の予定がないか等の情報を探し、足で歩き回ります。SNSを利用しての広告展開も少しはやっていますが、まだ十分とはいいがたいステージです。今年は、若い人の力を借り、ステップアップしていこうと心に誓いました。
時代の流れとともに、家の売り方や家の探し方、広告展開も変化し、店舗窓口はほぼ必要なくなりました。携帯電話ひとつあれば、家が探せて、家が買えて、現地まで足を運ばなくてもビデオ映像である程度確かめられます。契約書の書類はセールスマンを通じて、弁護士とやり取りしますが、そのうち画面ひとつで操作でき、だれとも対面することなく事務手続きを終える時代も、もう目の前でしょう。
そんな時代の課題はどこにあるのでしょうか。セールスマンの立ち位置がなくなる気配も感じつつ、マニュアル的な営業でもまだまだ続けられることを信じて、街を巡っています。
今年は投資家が動き始める1年だと予測しています。マイホーム購入を決断するファミリーも多いと見込んでいます。100%の理想の家探しではなく、6~7割の希望を満たす家があったら購入を検討しましょう。1年待つと値上がりの可能性が高いと考えます。今年前半がチャンスありかもしれません。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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