ニュージーランドでは、今日も白熱した不動産の「オークションナイト」が開催されています。今回は、オークランド郊外にある中古物件のオークションの模様などを見ていきましょう。
白熱する「オークションナイト」
6軒まとめてのオークションナイト! しかし、2軒はすでに売却済み・・・。オークション日を待たずしてオファー(契約依頼)が出され、家主も提示金額を承認したため、オークションをせずに売買契約が成立したのです。
「もしかしてこの勢いでは、オークションの開催を待たずして全部売れるのではないか!?」――オークションナイトを企画しているものとしては、嬉しいやら寂しいやらで、心は少し複雑です。
その後、4軒のうち1軒も事前にオファーが出ましたが、オークション日を前日にしていたため、オークションは続行されることになりました。
今回は、4軒のうち、エキサイトした2軒のオークション例を紹介したいと思います。
1軒目は、オークランドから西方面に車で約20分のアボンデールという街にある、2LDK、駐車場1台付のアパートメントです。築約7年相当の中古物件であることに加え、線路沿いに建っているためロケーションはあまり良くないのですが、電車通勤をする方には駅が近く利便性抜群の物件です。
そんな中、娘のためにアパートを購入したいという父親が、オークション前日にこの物件を35万5000NZドルでオファーしました。もちろん、家主も喜んでそのオファーを受けます。
ただオークション前日だったため、担当セールスマンはオークション続行をお薦めし、翌日オークションに参加をしてもらいました。
オークション当日、オークショナーが「35万5000NZドルで事前オファーがあり、家主も承認をした。オン・ザ・マーケットだ!」と告知をし、オークションが開始されます。
するとすかさず、娘のためにと物件を買いに来た母親が5000NZドル物件価格を上げました。最初にオファーした父親も5000NZドル上げ、競争が始まります。
時間が経つにつれ、上がる金額が1000NZドル、500NZドルと低くなってきます。20代の娘が安心して住め、かつお手ごろ価格という物件ゆえに、両方の親は必死で競争します。
しかし最終的に、娘のためにと買いに来た母親が勝利を手にし、37万500NZドルで物件の売買は成立しました。
たった数年前まで、このアパートメントはマーケットに出てもなかなか売れず、人気がありませんでした。しかし近年、数少ない郊外のアパートメントであることに加え、価格も安いことから、にわかに注目を集める物件となっていたのです。
さて、2軒目はティティランギというオークランドから西へ30分の距離にある、4LDKの1軒屋です。
近代的な内装で、システムキッチンやバスルームなど、茶系を基調にした豪華な設備が備わっています。
オークショナーが「誰が最初にビットしますか?」と言うやいなや、40代くらいの中国人男性がすかさず「80万NZドル!」と手を挙げ、オークションが開始されました。
30代くらいの中国人男性も、負けじと「83万NZドル」と手を挙げ、「85万NZドル」「いや90万NZドル」と金額がどんどん上がっていきます。
しかし、97万NZドルになった時、最初に手を上げた男性が「もうあきらめる・・・」と手をあげなくなりました。
オークショナーは「本当にそれで良いのか?」と綺麗な庭園のスライド写真を写し、加えて「庭はすばらしく、デッキも使い心地いいよ・・・」と言いますが、男性は「あんなの2000NZドル程度で作れるよ」と聞く耳を持ちません。
結果、30代くらいの中国人男性が97万NZドルで勝利。あっという間のオークションでした。
この物件は500NZドル単位の競り合いではなく、3万、5万NZドル単位で上がっていく高額が取れる短期競売のオークションでした。まだまだオークランド物件はホットであると言えます。
オークランド郊外の「リゾート型物件」とは?
オークランドから南東に位置するワイカト県。その中でも、東に位置するコロマンドル地方のパアヌイ地区をご紹介します。
このリゾート地はオークランドから約2時間で行ける場所にあるため、昔から別荘地域として親しまれてきましたが、今はさらに贅沢になり、一部運河がある地域は高級リゾートとして再開発されています。
まるでアメリカのフロリダか、ヨーロッパのリゾート地を模したような街並となっています。
著者がこの地域を通りがかった際、 運良くオープンホーム(内覧会)をしていましたので、飛び入りで物件を見せてもらいました。
運河に面し、ボートでもアクセスできる4LDKの一戸建て。キッチン、バスルームも白色を基調にした豪華の設備。リビングからは運河の眺めも良く、まさに憧れの家といった雰囲気です。
近年では、リタイアした人々が別荘ではなく居住物件として購入することが多いようです。理由としては、高速道路の開通によって、オークランドから2時間程度で行けるようになったことが影響しているようです。
中古物件の販売もありますが土地の売り出しもしているので、好みの家を建て、ニュージーランドの別荘、またはリタイヤメント居住用として注目されている地域です。
Author Profile
-
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
連載コラム 記事一覧 >
最新の投稿
- 連載コラム2024.04.12【連載194回目】【NZ不動産の最新事情】オークランド、賃貸物件の慢性的不足が続く…投資家にはチャンスも
- 連載コラム2024.03.08【連載193回目】
オークランド地区、2月の不動産平均価格は100万NZドルを下回る…購入は速やかに、売却は8~9月まで辛抱を - 連載コラム2024.02.16【連載192回目】〈NZ不動産〉銀行金利7~8%、住宅平均価格100万NZドル超の厳しい状況…投資家の動きは?【現地バイヤーが解説】
- 連載コラム2024.01.19【連載191回目】「NZ移住のきっかけは、阪神淡路大震災でした」現地不動産のプロが、不測の事態に備えた国際的な〈資産分散資産・資産形成〉を真剣に勧める理由