3月3日にオークランドで行われた祭典「ジャパンデイ」には約4万人の参加者があり、昨年に引き続き大変な盛況でした。オークランドは日本に親しみを持つ人が多く、食文化だけでなく、アニメやゲームにも高い関心が寄せられています。今回は不動産の話題から少し離れ、お互いに友好的な立場にあるニュージーランドと日本について、貿易面のビジネスチャンスを考察します。
日本文化を紹介するフェスティバルは、今年も盛況!
3月3日の日曜日、ここオークランドでは、日本の文化や食を紹介する夏祭り「ジャパンデイ」が開催され、大変な盛り上がりを見せました。今回は、不動産ではなく、ジャパンデイを通じて考えさせられた、ニュージーランドの日本の貿易面でのビジネスチャンスについて、少しお話したいと思います。
この日はちょうど、日本の雛祭りの日です。ここでもお雛さまを飾り、お茶・お花の伝統文化の紹介のほか、ステージでは太鼓・日本舞踊の披露といった華やかなパフォーマンスが繰り広げられました。屋外では餅つき、お神輿、盆踊り、阿波踊りも行われています。多くの人で混み合うなか、楽しげに踊りながら、次々とブースを移動していく人たちもいます。
昨年はこのイベントに4万人が参加しましたが、今年も同等か、もしくはそれ以上の来場者数があり、大変な賑わいを見せました。
今年は日本でラグビーワールドカップが開催されますので、ニュージーランドの人々のなかにも、実際に日本への訪問を計画している人も多いことでしょう。日本の観光地のガイドブックを紹介したパンフレットの配布が多く、筆者の会社もスポンサーとしてブースを設置し、日本からの投資や、ニュージーランドでの開発事業について紹介しました。
日本人の想像以上に日本の食・商品に親しんでいるNZ
オークランドに住むわれわれ日本人は、この地に多くの観光客や留学生が訪れ、日本車が増加することを期待しています。オークランドは観光都市ですから、観光客が増えれば当然、ホテル業界・飲食業界が潤い、お土産店も繁盛します。それに伴い、雇用も増加します。
では逆に、日本ではニュージーランドの商品を取り扱うビジネスはどこまで進んでいるのでしょうか?
皆さんご存知のように、ニュージーランドは酪農国です。日本では、バター、チーズ、フルーツ、肉類、そしてワインも大いに親しまれ、その地位を確立してきました。最近はジンやウィスキーを取り扱っている話も耳にします。
日本に関心を寄せているニュージーランドのほうでは、Sushi、Don、Ramen等が国民食となって定着しています。アレンジされてはいるものの、人気食であることに変わりありません。TakoyakiもDangoも定着しつつあります。
フード関係ばかりではなく、アニメ、ゲーム機も親しまれています。そして、変わったところでは「包丁」です。これは、Sushiブームで魚をさばく様子を目にして、シャープな切れ味に魅せられたようです。しかし、その包丁で、魚だけではなく、肉やその他の食品にも使うとのこと。日本人としては、肉用と刺身用の包丁は別にしてほしいところですが、感覚も異なりますし、また何本もそろえられないでしょうから、その辺は仕方がないのかもしれません。
料理つながりでいえば、野菜スライサーは女性にとても人気です。使った人から「こんなに便利なものはないわ!」と、感激の言葉を聞きました。
多国民都市のオークランド。この地の方たちは、世界の珍しいもの・便利なものは、すぐに取り入れ、自分たち流にアレンジしていきます。
じつは、そこにビジネスチャンスが秘められています。日本の皆さんがふだん何気なく使っている商品、あたりまえに活用している商品はないでしょうか? 逆に、ニュージーランドにあって日本にないものはないでしょうか? ニュージーランドの商品のなかに、日本の人々が注目するものがあるかもしれません。
筆者はいくつか、日本とニュージーランドのそれぞれに、お薦めしたい輸出入品のアイディアを持っています。ジャパンデイでの、日本とニュージーランドの文化交流を間近に見ながら、不動産以外のビジネスについても、大いに考えさせられました。
本当に世界人々にとって、日本の文化は特殊で、とても興味深いものなのです。にほんには神秘な国というイメージがあります。たとえば、書道です。日本には書道の授業があり、決して上手ではなくても、最低限、筆で文字を書くことができます。しかし、アルファベットで育ったニュージーランド人には、これが神秘的で、すごいものに映るのです。
書道は本の一例ですが、私たち日本人が持っているもの、得意としているもの、日々使っているものに、何かチャンスがあると思います。ニュージーランドだけではなく、世界中に通用するものが、日本にはまだまだあると考えています。
それを探し出し、ビジネスにできれば、大きなチャンスをつかめるかもしれません。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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