現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY faild USD faild 2024年05月04日 04:11 AM  更新

なぜニュージーランドでは「住宅不足」が解消されないのか?

2016年1月29日

連載コラム 一色 良子

オークランド 住宅

ニュージーランド国内最大の新規住宅需要があるオークランドでは、建設許可の発行が増え続けているにもかかわらず、住宅の需要に追いついていない状況です。今回は、なぜ住宅不足が解消されないのか、また、今後はどのような見通しになるのかを見ていきます。


 

ますます深刻化するオークランドの住宅不足

昨年11月に新たに発行された住宅建設許可件数は、国全体で2831件であり、同年10月の2349件および2014年11月の2420件に比較し、発行件数は伸びています(スタティスティクス・ニュージーランド、http://www.stats.govt.nz/)。

 

国内最大の新規住宅需要があるオークランドでは、11月に966件の建設許可が新たに発行され、10月の805件から大幅な伸びとなりました。


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オークランドでの建設許可発行件数が上昇に転じたものの、オークランド地区の爆発的な移住人口増により高まり続ける新規住宅需要に追いつくには未だ不十分です。少なくとも1208戸の住宅がオークランドの人口増加に対応するために毎月必要であると推測されています。11月の建設許可発行件数はその目標に20%届かず、同地区の住宅不足が悪化の一途を辿っていることを意味します。

 

ASB銀行のシニア・エコノミスト、ジェーン・ターナー氏は、建設許可件数に関するクイックビュー・ニュースレターでオークランドでの許認可数では全く足りないと述べています。

 

「全国的にみて、11月の建設許可発行件数は伸びており、2016年のはじめ頃までは建設業界において緩やかな成長が見込まれます」

「しかしながら、オークランドの住宅建設供給は低いままです」

「その結果、オークランドの住宅不足は今年も続くでしょう」

 

11月認可の住宅建設工事総価値は10億6400万NZドル

建設許可件数がもっとも増加した都市の1つがウェリントンであり、10月にはわずか126件でしたが、328件の新規住宅建設許可が11月に発行されました。

 

ワイカトにおいても建設許可発行件数が伸び、10月の発行件数は259件、2014年11月では181件だけでしたが、2015年11月には284件と大幅な伸びがありました。

 

そしてベイ・オブ・プレンティの11月の同許可発行件数は227件で、10月の205件、2014年11月の114件から大幅に増加しています。

 

また、カンタベリーの11月の建設許可発行件数は573件であり、10月の489件に比べて増加している一方、2014年11月の726件からは減少しています(地域ごとの分析結果については下の相関図をご覧ください)。

 

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11月に国内で発行された2831件の建設許可の内訳は、1864件が戸建て住宅、270件がアパートメント、321件がリタイアメント・ビレッジ・ユニット、376件がフラット(共同住宅)、タウンハウス(都市住宅)および集合住宅でした。

 

11月に建設許可が下りた新規物件の総価値は、9億1100万NZドルでした。さらに既存物件の増築や改築分が1億5300万NZドルであり、11月に認可された住宅建設工事の総価値は合せて10億6400万NZドルでした。

 

これに加えて5億3100NZドル相当の非住宅建設工事が11月に認可されており、これら全てを合計すると総価値は16億2300万NZドルに上ります。

 

また、この非住宅建設の内、1億1400万NZドルがオフィスビルであり、次いで教育施設の9900万NZドル、店舗施設の7700万NZドル、工場およびその他の産業施設の7300万NZドル、そして倉庫およびその他の貯蔵施設の6100万NZドルと続きます。

 

今後も住宅市場の需要は高まる見込みで、住宅不足が予想されます。

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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