現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 94.06 USD 0.594 2024年04月27日 17:16 PM  更新

【連載184回目】入国制限撤廃から10ヵ月、アパート&1Rの賃貸市場は上向き、レンタルマーケットは回復傾向へ

2023年6月12日

連載コラム 一色 良子

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早いもので、入国制限の撤廃から10ヵ月経過しました。ニュージーランドのオークランド市街地には人々が増え、若者の姿が目立ってきました。空室が目立っていたクイーンストリート沿いの店舗もテナントが戻りつつあり、不動産市場の緩やかな回復と状況改善が見て取れます。※本記事は、2023年6月2日現在の情報に基づいて執筆されています。

 

シティー中心地の近況

 

入国制限の撤廃から、早いものでもう10ヵ月。オークランド市街地のメインストリートであるクイーンストリートには随分と人通りが増え、学生を中心にした若者の姿も目立つようになってきました。

 

クイーンストリートの一部は道路工事の影響で車両通行禁止なため、自転車やスクーター利用者専用の道が賑わい、益々人が多くなったように感じます。

 

通りに面したお店も、コロナ禍の影響で空室が目立っていましたが、少しずつテナントが入り、元通りになるのにあと一歩、という状況です。

 

留学生や旅行客も増えていることから、アパートメントやワンルームの賃貸市場は上向きで、売り上げも少しずつ伸びていますし、レンタルマーケットも回復しつつあります。

 

賃貸だけでなく、売買市場も、メディアが報じた通り回復傾向にあります。これは、隣国のオーストラリアの不動産市場が回復していることにニュージーランドがならってのことです。

 

いくら回復傾向とはいえ、実際の業務において大きな変化があったわけではありません。しかし、オープンホームへの訪問者数、オークションの数と成功率が増え、閑古鳥が鳴いていた時期と比べ、はるかに状況が好転してきているのは確かです。

 

資格更新セミナーで、不動産業者の「若返り」を実感

 

ニュージーランドで不動産販売仲介をするには、資格が必要となります。この資格は毎年更新が必要で、更新のためには、1年に最低でも20時間以上のセミナーなどを受講する必要があります。

 

セミナーには、1時間ほどの短時間のものから半日がかりのものもあります。毎年受講することによって最新の情報を手に入れられますし、知識のブラッシュアップや、日々の業務のモチベーションアップにも繋がります。

 

ちょうど5月から6月はそういったセミナーが盛んな時期です。ふと参加している面々を見回してみると、若い世代が多くなったように感じます。

 

ひと昔前までは、右を見ても左を見ても不動産屋のおじちゃん、おばさん…といった感じで、中年以上のベテランセールスマンが多い傾向でした。しかし今では、イケメン男子もいれば、若くファッショナブルな女子もいますし、ビジネス然としていない素朴な人もいます。また、チーム○○といって、トップセールスマンの影の営業マンとして活動しているような人もいます。

 

近年では、SNSを活用して写真やビデオで宣伝・営業をおこない、Web上で現場を見せて、契約の詳細は弁護士と相談、と割り切った形で、画面だけを見て、ボタン1つで家の売買をする時代が来ています。

 

マーケットは、5月に入り復調の兆し

 

ニュージーランドでは各物件に市役所評価額というものが設定されています。これは、主にレーツ(固定資産税に似た税金)を払うための基準として設定されたものです。

 

マーケット価格、すなわち実際の売買価格と、市役所評価額は必ずしも連動していません。とはいえ、ある程度の相場感を見ながら、この市役所評価額に対して、10%アップだとか、20%ダウンといった形でお客様に金額を提示することもあります。

 

現在は、この市役所評価額が上昇しています。しかしマーケット価格は上昇しておらず、レーツの支払い額が高くなる一方のため、少々頭が痛い状況が続いています。

 

市場回復によって、そろそろこの評価額基準と同等か、それを越える金額で売買が成立していくことを国民は期待しています。

 

今年は1月から、従来であれば繁忙期である4月までの売り上げは少々伸び悩んでいました。しかし、5月に入って回復の兆しが見え始めたことでモチベーションも上がり、6月はさらなる期待ができるか? という状況にあります。

 

そして、今年の下半期は、9月から営業を強め、クリスマス前にはファーストホームバイヤーの新居購入が実現できるよう、我々セールスマンもサポートを強めていく所存です。

 

最近は新築開発のタウンハウスの売れ行きが伸び悩んでいましたが、価格がお得な物件から問い合わせも多くなってきました。こちらの冬場である6月、7月、8月は足踏み状態かもしれませんが、9月以降にはいまの状況から脱却できることを予測、期待しています。

 

9月には攻めの姿勢でいられるためにも、いまはセミナーなどで知識を蓄え、8月には準備を進めていこうと思います。

いつの時代も、キーウィは物件を探索中!

 

10年に1度のサイクルで何らかの不景気、価格ダウンは生じるものです。しかし、長く低迷期が続くこともありません。下半期は攻めに入り、ポジティブに動く所存です。

 

銀行も、投資家に対しての融資も従来であれば40%の頭金が必要だったところを、必要額を35%に下げたほか、一時は7~8%台まで上がっていた金利も少しずつ下がり、6.75%まで低下するなど、融資の条件が緩和傾向にあります。

 

日本で資金力ある方は、金利のいい時期に長期定期預金などを組む方が多いのでしょうが、ニュージーランドでは、資金があればローンを組んで住宅を買う、という傾向があります。

 

マイホーム所有者は投資用、まだマイホームのない人はマイホーム購入…という形で、いつの時代もキーウィは物件を求めて動いています。

 

オークランド市内の各地で、タウンハウスの建設が増えていて、庭付きの1戸建てがいつのまにか取り壊され、複数のタウンハウス建設現場へと移行しています。

 

4~6戸の小規模開発もあれば、20~30戸の大型開発もあります。地盤工事に時間をかけていたとしても、建設が始まれば、あっという間に完成しています。

 

家を売りたい方は、もう少し我慢。市場価格が上がることが予想される春になってから、マーケットに出しましょう。

 

購入希望者は、考えているヒマはありません。底値のいまが大チャンスです! 一気に行動しましょう!

 

とはいえ、ローンが下りないと悩む方もいるかと思います。その場合は気長にいろんなモゲージブローカーと相談してみる、もしくは思い切って転職して収入を上げる、共働きへと移行してみる…などなど、ローンが下りるよう、努力をしてみて下さい。どこかにヒント、どこかにチャンスがあるはずです。

 

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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