現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 91.34 USD 0.594 2024年05月03日 00:45 AM  更新

ニュージーランドで賃貸物件を売却する際のルールとは?

2017年4月21日

連載コラム 一色 良子

オークション キャピタルゲイン 住宅 海外不動産 移住

ニュージーランドで賃貸物件を売る際には、日本にはないものも含めて様々なルールがあります。今回は、どのようなルールがあるのか、どんな準備をしておくべきなのかを具体的に見ていきましょう。

 

物件の売却時には、賃貸人に「書面」で通達

 

ニュージーランドでは、賃貸物件を売る際に、事前に準備しておくべきルールがあります。

 

<注意すべきこと>

●所有者が物件を市場に出す場合、賃貸人に対し書面による通達を行う必要があります。礼儀上、所有者は、販売チームが賃貸人と良好な関係を築くためにも事前にプロパティ・マネージャーを通じて賃貸人に通知するようアドバイスされます。

 

<写真(撮影)>

●プロパティ・マネージャーは、カメラマンが物件内でマーケティング用写真の撮影するための許可を事前に取っておく必要があります。

●賃貸人は、自身の如何なる所有物も写真に映ることを拒むことができることを知っておく必要があります。仮に撮影許可が得られていたとしても、賃貸人のプライバシーが侵害されたと受け取られた場合には問題が生じます。そのため、販売チームには賃貸人の所有物の撮影は行わないよう前もって伝えておくことを推奨します。
<物件への立ち入り>

●所有者、および不動産セールス・コンサルタントは、買い手に物件内を公開する権利があります。また、レポート発行の為に所有者が雇った価格査定人または建築の専門家に対しても公開することができます。但し、最初に賃貸人の許可を得る必要があります。

●賃貸人は正当な理由なく物件への立ち入りを拒むことはできませんが、納得のいく条件を設けることができます。例えば、時間帯および曜日の制限、オープンハウスおよびオンサイトでのオークションの禁止、オープンハウス時における在宅などです。

●賃貸人は、物件の公開が、事前予約限定のみと主張することができます。

●販売計画にオープンハウスやオンサイト・オークションを含める前に、所有者はそれらについて賃貸人と話し合うことがオススメします。具体的な日時の同意を得て、書面に残すと良いでしょう。

●賃貸人に報酬を渡して物件内に滞在してもらい、販売チームに協力してもらうのもよいでしょう。例えば、無条件の売買が成立した際には、その報酬として1週間分の賃貸料を無償とするなどです。また、賃貸人のさらなる協力を得て、普段以上の物件内の様子を見せたいのであれば、オープンハウスまたはオンサイト・オークションを行う旨を伝え、(その報酬として)2週間分の賃料の無償化を申し出るとよいでしょう。

●賃貸人名義の保証金について、その一部でも保持することを望むか否かを決めることは重要であり、売買契約の成立前に調整する必要があります。一度、契約書に保証金額を記載すると、その金額を新所有者に支払われなければならなくなるためです。
トラブル防止のためにも賃貸人とは事前に話し合いを

 

<売り渡した後>

●物件を売り渡した後も、新所有者が現在の賃貸人との契約を望む場合には、新所有者が誰で、いつ物件譲渡がなされるかを賃貸人に通知する必要があります。プロパティ・マネージャーに、新所有者に渡す賃貸関連書類の写し、および譲渡する保証金を用意させます。もしプロパティ・マネージャーの働きがよければ、賃貸人とのトラブルを最小限とするためにも同一のプロパティ・マネージャーの下で物件を管理するよう(新所有者に)推奨するとよいでしょう。

●物件譲渡後、元所有者の所有する保証金は新所有者へと継承されます。

●賃貸人を望まない者に物件が売り渡された場合、「明け渡し」がその売り渡し条件の1つになります。所有者は最低でも42日前には賃貸人に対し書面による通知を行い、物件を空室にする必要があります。このとき、明け渡し通知には適切な「予備日」を加えることを忘れないでください。通知を郵送する場合には、4稼働日をみる必要があります。また、賃貸人への電子メール、FAX、あるいは手渡しによる場合には即日とすることができます。通知による効力が発生するのは、通知期日の最終日の翌日からであることを忘れてはなりません。

 

<定期賃貸借(契約)期間>

●所有者または賃貸人は、定期賃貸借期間の早期終結通知を出すことはできません。そのため、売りに出されている物件が定期賃貸借契約で貸し出されている場合、その定期賃貸借および賃貸人込みで譲渡しなければなりません。買い手が未消化の定期賃貸借契約の継承者となります。

●定期賃貸借期間を短縮する旨の書面による同意が賃貸人から得られた場合、所有者は建物を空き家にして売り渡すことができます。通常これには賃貸人への補償が含まれます。

オークションや物件売買契約をスムーズに行うためには、事前に準備や賃貸人との話し合いが重要なポイントです。

 

 

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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