住宅不足が近年、深刻な問題になっているニュージーランド。今回は、過去最高を記録した「新規住宅建設許可数」について詳しく見ていきましょう。
オークランドで特に顕著な建設許可数の伸び
2月に発行された新規住宅建設許可数は大きな伸びがみられ、特にオークランドで顕著でした。
ニュージーランド統計局によれば、2月の建設許可の発行件数は国全体で2379件あり、これは昨年2月に比較し35.3%増に当り、2004年2月以来最高値とのことです。
2月までの12カ月間で2万7745件の住宅建設許可が発行され、その前の12カ月間に比べ12%増加しました。
建設許可対象の最も多くが一戸建て住宅であり、1712件が2月に発行され、次いでタウンハウス、フラットおよびユニットが341件、アパートメントが204件の、そしてリタイアメント・ヴィレッジ・ユニット(老後施設)が122件でした。
2月のオークランドでの建設許可発行数の787件(前年2月は528件)を筆頭に、カンタベリーの525件(前年2月は517件)、ワイカトの274件(前年2月は195件)、ベイ・オブ・プレンティの200件(前年2月は101件)、そしてオタゴの172件(前年2月は73件)と続きました。また、同月のウェリントンの建設許可発行数は113件で6番目でした(前年2月には102件)。
先月発行された新規住宅建設許可件数の総価値は9億2600万NZドルに相当し、月間ベースでは過去最高となりました。
さらに、既存住宅の増改築に対する建設許可の総価値は1億1500万NZドルに及び、これは10億7700万NZドル相当の住宅建設工事が先月認可されたことになります。また、昨年2月の同価値は7億6900万NZドルでした。
しかし、先月の非居住物件の建設許可は減少し、昨年2月の非居住物件の建設総額の4億7000万NZドルに対し、3億7200万NZドルでした。
先月の非居住物件建設の内訳は、倉庫などの保管施設の8200万NZドルを筆頭に、賃貸物件の5800万NZドル、オフィスの5200万NZドル、教育施設の4600万NZドルと続きました。
住宅不足が原因で不動産価格が高騰するオークランド
オークランドでの新規住宅建設許可発行数の伸びは順調と言えますが、急速な人口増加による住宅不足を解消するにはまだまだ遠く及びません。
オークランドでは、人口増加に対応するために毎年最低でも1万4500戸が新たに必要とされており、毎月1208戸が新たに必要になる計算になります。
先月オークランドで発行された建設許可数は787件であり、これは本来必要とされる発行数のわずか65%でしかなく、毎月同都市の住宅不足は悪化していることを意味しています。
住宅不足は、住宅価格を押し上げる要因の一つなっており、ユニタリープランによる低層から高層への新規住宅建設許認可の緩和は、住宅不足の解消になるのかが今後の鍵となることでしょう。
[図表]オークランド商業・居住地域開発計画(2012-2042年)
Author Profile
-
1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。
1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。
現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表として活躍中。
連載コラム 記事一覧 >
最新の投稿
- 連載コラム2024.03.08【連載193回目】
オークランド地区、2月の不動産平均価格は100万NZドルを下回る…購入は速やかに、売却は8~9月まで辛抱を - 連載コラム2024.02.16【連載192回目】〈NZ不動産〉銀行金利7~8%、住宅平均価格100万NZドル超の厳しい状況…投資家の動きは?【現地バイヤーが解説】
- 連載コラム2024.01.19【連載191回目】「NZ移住のきっかけは、阪神淡路大震災でした」現地不動産のプロが、不測の事態に備えた国際的な〈資産分散資産・資産形成〉を真剣に勧める理由
- 連載コラム2023.12.15【連載190回目】〈NZ不動産の最新事情〉「物件価格低迷&銀行金利上昇」で、購入を迷うバイヤー多数だが…不動産のプロ「待たないほうがいい」と考えるワケ