現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 92.96 USD 0.596 2024年04月26日 13:18 PM  更新

【連載第142回】オークランドの建築ラッシュ…開発が進む鉄道周辺地域

2019年10月11日

連載コラム 一色 良子

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オークランドの人口は、移民の受け入れによる増加が続いています。それに伴い、行政は高速道路の拡張や道路車線増加工事のほか、鉄道網の拡充を図るなどインフラの整備に余念がありません。開発が進む駅周辺から線路そばの地域は、古い建物から最新型のビルへの建て替えが進み、建築ラッシュのような様相を呈しています。今回は、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地の生の開発状況をレポートします。


 

人口増加が続くオークランドシティは電車網も拡大中

 

移民を受け入れているオークランドシティは、人口増加が続いています。車社会のため、行政は高速道路の拡張や道路車線増加工事を行って対策しています。現在では電車網の拡張工事も行われ、シティ近郊と北方面を除く、東・西・南方面の電車の駅の改装・路線拡張工事を実行中です。

 

とくに、シティ中心にある終点駅、ブリトマート駅からさらに延長し、アオテアスクエアから、Kロードと称されているカラカンガハッピーロード、そしてマウントイーデンへと進み、西線へとつなげていく予定です。

[図表1]オークランドシティの路線工事イメージ

 

[図表2]オークランドシティの路線図

 

工事完成予定は2024年後半と、しばらく先ですが、工事中の市内中心地は地元住民にもさまざまな影響を及ぼしています。従来どおりの営業ができにくくなるホテル・商店がある一方で、人の流れが変わったことで利益を得る店もあり、市民の生活環境としてはなかなか複雑です。しかし、そのような不便な状況にあっても、一部の老舗店には人々が足を運び、アクセスの悪さを感じさせない賑わいを見せています。これはビジネスが成功している好例でしょう。

 

日本はすばらしい電車網を持ち、都心部は複数の路線が網目のように通っていますが、オークランドは非常にシンプルで「東・西・南」の3路線しかありません。車両数もピーク時で8両程度、日中は3~4両で走っています。乗車率もまだ高くありません。天気が悪くなると乗車率が低くなるという現象も起こります。というのも、家から駅まで歩く距離が長い人ほど、車に乗ってしまうからです。

 

飲酒運転は禁止されているものの、グラス1~2杯ならOKと規制もゆるく、仕事帰りの一杯が飲めないというわけではありません。むしろ、終電が午後11時半のため、帰宅が遅くなる場合は役に立たないという声が多いのです。それに加え、運行時間も不正確です。遅延はもちろん、急な事故や不備で営業が中止となり、バスへの振り替えになることもあります。このような不安定さもあり、乗客はどうしても電車利用を避けがちになるのが実態です。

 

しかし、それらを改善すべく努力するとともに、路線拡張が進んでいます。駅の周辺にはアパートメントなどを中心とした集合住宅が多く立ち並び、各地で建設ラッシュがはじまっています。

 

線路脇の土地は好まれないのでは? という声も聞こえてきそうですが、世界各国からやって来たオークランド市民ですから、電車の騒音等は慣れている人もいるでしょう。加えて、騒音対策として二重窓を設置した住宅の建設も試みられています。

 

筆者はこちらに在住して20数年が経過しましたが、古くからあるビルは壊され、店舗が次々に入れ替わっています。おしゃれなビルに入る店舗は近代的なものばかりで、店先でおばあちゃんが小物を売っているような小規模商店はなくなりつつあります。たまにそんなお店を見かけると、なんともいえない哀愁を感じるとともに、懐かしさがこみ上げてくる思いです。メインストリートであるクウィーンストリートには、有名ブランドの店が立ち並び、のどかだったオークランドの街並みも、国際的な様相になってきました。

 

人気は駅近物件…アパート建設ラッシュも続く

 

現在のオークランドでは、ブリトマート駅の地下を掘ってトンネルを作り、マウントイーデンまでの道のりの工事をしています。

 

1920年代は、人々の足としてクウィーンストリートを走るケーブルカーが活躍していました。そこから徐々に車・バスへと移行していきます。そして、2000年代から列車システムを強化し、ブリトマートを終点駅としていたものをループ状の路線に替え、西線も単線ですが二車線に改装され、さらに行き来を活発にしていく計画です。

[写真1]1920年代のオークランドシティ―の様子
1920年代のクウィーンストリートとカスタムストリートのコーナー。左手端のビルがブリトマート駅の建物。
[写真2]2000年代のオークランドシティの様子
2000年代にはバスが走り、元郵便局のビルは、ブリトマート駅として誕生。

駅近物件の人気は日本ではあたりまえのことですが、オークランドも1990年代、そういう現象が起こるだろうと予測し、早くからアパートメント建設ラッシュが進み、公共網の整備も強化され、人々の流れを替えていっています。

 

さて、バス・電車に代り、2060年代はどんな交通網になっているでしょうか? 成長が期待できるオークランドの街です。

 

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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