【連載164回目】2度目のロックダウンで国民が息をひそめるなか、中古住宅の価格上昇続く
2021年9月13日
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2度目のロックダウンが実施されたニュージーランドは、国民と政府が一丸となってコロナ抑制に努めています。一方、人々が自宅に閉じこもっても不動産業界は相変わらずの活況で、中古住宅の価格上昇が止まりません。どのような背景があるのでしょうか。
市中感染者1人の出現で、2度目のロックダウンに突入
日本でもニュースになっている通り、ニュージーランドはロックダウン中です。今回もオークランドより生の情報をお伝えしたいと思います。
2021年8月17日の午後3時ごろでした。「デルタ株の市中感染者が1人出た」というネットニュースが駆け巡りました。
そのとき筆者は、ワクチン接種会場の待合室に腰を掛けていました。1回目の接種後、体調変化を見守るために、15分間の待機を指示されていたのです。
そんなところへ、午後6時に首相の記者会見があるとの情報が入り、「これはまた、ロックダウンになるかもしれない」と思って、会場からすぐそばのスーパーマーケットへと走ったのです。
同時にスタッフ全員に電話をかけまくり、「仕事の手を止めてすぐ家に帰って! なんでもいいから生活必需品を買って、ロックダウンの準備をしなさい!」と、電話口で声を張りました。
その日のうちに政府から、市民の外出を禁止し、生活必需品を扱うスーパーや薬局以外の店舗を閉鎖する「警戒レベル4」の発表があり、翌日18日の未明より、ニュージーランド国内はロックダウンに突入しました。
久しぶりのロックダウンです。それまではマスクもつけず、居酒屋でもレストランでも、大勢のなかで食事をしていましたし、スポーツ観戦や、観劇にも出かけるなど、本当に「コロナ以前」のような日常を送っていました。
しかし、そこにデルタ株の感染者が出現しました。該当者とその仕事仲間をはじめとする濃厚接触者が、週末に行動した立ち寄り先を一般公開し、同時期に同じ場所にいた感染の可能性がある人は、すぐさまPCR検査を受けるようにとの指示がありました。感染リスクのある人たちは、長打の列となって検査を受けました。
しかしその後、教会や学校でクラスターの発生が判明し、オークランドと、その北のノースランドでも感染者が発生しました。オークランドに訪問したウェイリントン在住者の感染も確認されました。
約1年ぶりの予期せぬロックダウンです。携帯のアラームが鳴り響き、久々に感じる緊張感です。スーパーには大勢の人が押し寄せ、やはり、トイレットペーパーをはじめ、缶詰など長期保存のきく食品から飛ぶように売れていきました。
人気商品の戸棚はすぐに空になるので、
「そうか、やはりこれは人気商品だったのか」
と、いつも購入しているお気に入の品が売り切れているのを見て、冷静に考察するシーンもありました。
ロックダウンの決定も早いニュージーランド政府ですが、資金の面のサポートも同様です。条件を満たす人は、ウェブ申請により週600NZドル(約4万6,000円)を2週間分(1,200NZドル〈約9万2,000円〉)支給すると、すぐに決定・周知されました。
再度2週間の延長となったときも、第2弾として同じ金額が支給されました。
この支給額はフルタイムで勤務している人の基準で、パートタイムでの勤務者はその半額支給でした。
もちろん、充分な額とまではいえず、経営者側も苦労しますが、最低限の支給は受けられるので、いまのところはどうにか暮らしていくことができてます。
市民と政府が一丸となり、コロナ禍脱却を目指す
一度はコロナを抑えることに成功していたニュージーランド。政府の素早い対策で世界にも名が知られ、本当にありがたいことだと思いながらも平和に暮らせていましたが、ロックダウンが長期化すると、経済は成り立ちません。
観光業界は、やっと国内旅行で潤いはじめた地域も出てきており、そしてなにより、次のクリスマスには開港するのでは…という期待があっただけに、今回のロックダウンは国民も動揺しました。
ニュージーランドの医療体制は、酸素呼吸の機械等の設備が充分ではありません。感染者が増えれば対応できないため、日頃から予防を強化し、なるべく感染を抑えるという方針で動いていました。
もし感染者が発見されると、速攻でロックダウンし、感染者数ゼロを目指します。また、ワクチン接種率も低いため、接種可能な会場を増やし、ワクチンも輸入し、接種率を上げるために、手を尽くしている最中です。
賛否両論はありますが、政府は人々の立ち寄り先をウォッチできるソフトも利用しています。人口が少ないぶんコントロールしやすいのもあるかもしれませんが、いざというときには行動を追い、感染拡大抑止に注力する、そんなきめ細かい対応がなされています。
今後、世界各国の動きを俯瞰しつつ、開港についてどう判断するか。これからがまさに正念場となります。
感染者ゼロは無理があるとは思いますが、国民ひとりひとりの意識を向上させることが、コロナ禍からの脱却につながっていくのです。
ロックダウン中もなお活況…NZ不動産業界の不思議
今回のロックダウンは2度目ということもあり、昨年の1度目よりは、心にも少し余裕があります。とはいえ、ロックダウン中は外出や対面での仕事ができないため、顧客との連絡は電話か、メールか、ビデオ通話のみ。実際の家に足を運んでの内覧は、もちろんすることができません。
しかし、週末にはオークションが迫っており、キャンセルするかどうか悩んだものの、Zoomによるビデオ通信でのオークションを開催しました。
すでに内覧会等を行い、買い手の考えが決まっていた物件についてはオークションが開催できましたが、一度も内覧会をしていない物件のオークション開催は厳しいので、営業を一旦中止したほか、新規の売り物件の情報公開は一時的に延期としました。
とはいいつつも、今回は興味のある方と条件付きで売買契約してみたり、オークションでの販売を予定していた物件も、条件付きでオファーを受け付けたり…といった対応を行っており、買い手にとっては、オークションで競い合うことがなくなったということで、ラッキーな流れとなっています。
家主様側は、オファーしてきた価格が期待値に達していれば契約書にサインするでしょうが、オークションで競い合ってもらえば、さらに高額での契約成立が狙えるので、どこまで欲張るかは考えどころです。
このように、不動産業者はステイホームしながらも、Zoom会議で社内的打ち合わせをしたり、顧客と通信したりして、売買が成立できるよう動いています。
完全に売買成立しなくとも、ロックダウン解除後に売買が成立するように、少しずつですが仕事を先へ進めているのです。
ただ、物件の引き渡し日が重なってしまうと、引っ越し業者も込み合って簡単には動いてもらえません。そうなると、お金の精算や清掃も延長せざるを得なくなるほか、テナントさんが住んでいる場合も段取りが大変になりやすく、それらが影響して、資金が目減りしたり、予算外の出費が発生したりといった、困った事態になりやすいのです。
これまで仕事で多忙だった投資家も、ロックダウンを機にネット検索して投資物件を吟味する時間ができている模様です。
筆者の会社も、電話は鳴り止まず、問い合わせのメールも次々に来ています。そんな状況でありながら、普段よりも落ち着いて話すことができ、契約手続きもスムーズに進むという、オンラインならではのメリットが享受できるのが、不動産業界の不思議で面白いところです。
とはいえ、「現場を見ないと買わない」という顧客も多いため、ロックダウン解除後には、さらに多忙な状況になりそうですが、やはり嬉しい悲鳴です。
オークランドの中古住宅は、現在もなお「価格上昇中」
オークランド地域はまだまだ住宅不足の状況にあり、中古物件の希少価値は上がっています。
不動産投資は、実際の資産として不動産を所有するだけではなく、資産が家賃収入というお金を生み出してくれます。元本になる最初の資金も、大きな目減りがないどころか、現状ではどんどんと上がっていきます。そのため、住宅購入できる資金力がある人は、借金をしても投資しているのが現状です。
なかなか大きな買い物ですから、経済的に難しいと考える方もいるかもしれませんが、少しでも可能性があれば、実行してみてはいかがでしょうか。道はいろいろありますし、そのために筆者たちのサポートがあります。
価格帯、ロケーション、自分も住んでみたい、住んでもいいと思う物件かどうかを見極めて、購入物件の選択をしていく。現在のニュージーランド不動産は、大きく間違えなければ、実りある投資・資産運用ができる状況にあるといえます。
オークランドの平均販売地は、いよいよ110万ドル台になりました。100万ドルの予算を持っていても、「期待する物件がない」「マイホームが手に入らない」と悩む方は大勢います。
しかし、購入目的によって家選びの基準は異なりますし、上を見てもきりがありません。「あきらめずにいい物件を見つけ、買う」という行動に踏み切ってこそ、実りある結果を手にできるのだと思います。
ロックダウン中のNZからのメッセージ
日本の皆様には「ステイホーム、マスク、換気」の大切さを胸に、どうか命を守る行動をしていただきたいと思います。命あっての投資です。治療が必要な方が、すぐに病院で治療できるよう、状況の改善を願っています。
Stay home, be safe be kind.
この言葉を唱え、いまを乗り切ろうとしているニュージーランドですが、オークランドは9月14日火曜日まで警戒レベル4でロックダウン。
オークランド以外の都市は、警戒レベル2へと移行、9月9日木曜日より学校も開始という発表がありました。
日々の感染者の数によって対応は変化しています。9月6日現在、感染者数が下降しているため、レベル1への道も近いと信じています。ニュージーランドも、日本も、いまが正念場です。