【連載161回目】コロナ前の生活に戻ったNZ、不動産市場は活況、価格も上昇中
2021年6月11日
連載コラム 一色 良子GooNZ GooProperty nzに住みたい ウェリントン クライストチャージ ファーストバイヤー ワイカト 新型コロナウイルス 海外不動産

ようやくコロナ以前の生活に戻ったニュージーランドでは、不動産業界も活気を取り戻しています。マーケットにもコロナの悪影響は見いだせず、不動産価格は堅調に上昇中。今後の展望はどうなるのでしょうか。オークランド在住で不動産会社を経営する筆者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。
恒例の「不動産カンファレンス」も、今年は無事開催
ようやくコロナ以前と同等の日常が戻ったニュージーランド。昨年はコロナの影響で中止となってしまった、年1回開催の不動産セールスコンサルタント向けカンファレンスですが、今年は無事にNZの首都ウェリントンで開催されました。
筆者も1年半ぶりに国内線の飛行機に搭乗してウェリントンへと向かいましたが、いっそこのまま日本へ飛んで帰りたいという気持ちで、胸がいっぱいになりました。
カンファレンスでは、元NZ首相のジョン・キー氏もスピーカーとして参加しました。年度末の表彰式もかねての席だったため、NZ国内のセールスマンたちと交流できるチャンスでもあり、筆者もいろんな方と会話を楽しみました。
毎年この表彰式に参加すると、NZ国内のあらゆる不動産事情を把握することができます。
今年のNZ国内のトップセールスマンは、クライストチャーチ市内中心部から北に位置する、Papanui支店のスタッフでした。2017年度から連続で第1位の座を確保し、新開発も盛んに行っている凄腕です。旧邸宅の中古物件売買もありますが、新興住宅地の開発プロジェクトも多数販売して成功を収めています。
第2位は、ワイカト地方のハミルトン支店のスタッフです。高速道路の改装工事が進み、オークランドからのアクセスもよくなったことで、ワイカト地方の主要都市として年々規模が大きくなっています。オークランドへの一極集中是正のための政府政策が功を奏し、宅地造成も盛んになってきています。
国内最高価格のオークランドのトップセールスマンより、この南島と北島でもワイカト地方のセールスマンが首位を保っているのは、政府による地方分散化政策が成功している証なのでしょう。
ゲストスピーカーの体験談を聞くことができる、約1300名参加のカンファレンスにも参加しました。表彰式はディナー形式で開催され、お酒を飲みながらみんなで1年の労働をねぎらい合います。表彰される人たちは舞台へと上がり、カメラのフラッシュを浴びます。表彰式のあとは、音楽とダンスで夜中まで騒ぐのです。
コロナが終息したとはいえ多少不安はありましたが、日本にもこんな日常が戻ることを願っています。
(※ウェリントンの風景/PIXTA)
2021年5月末、ニュージーランド不動産価格の状況は?
オークランドの平均販売価格は111万NZドル台となり、ますますファーストホームバイヤーには手が届かない状況です。これはあくまでも平均値なので、学区のいい地域や、海の景色を一望できる高級住宅街では、もう平均200万NZドル台です。
「少し背伸びして、バルコニーから海が見える家がほしい…」
などと気軽にいえない時代となりました。顧客のなかにも、10年前に近所の家を買っておけばよかったと後悔している人がいます。
「せめてこの記事を読み始めた5年前、思い切って投資に踏み切っておけばよかったわ。あの頃はまだ買える価格だったし、キャピタルゲインだって得られただろうし。もう、オークランドの不動産には手が届かない!」
当時、ワイカト地方への投資案内がありましたが、そのワイカトでさえ、平均値74万NZドル相当となってきた現状を見て、臍を噛む顧客もいます。筆者からは「まだ遅くはありませんよ。次の5年を見据えて、今月の投資を検討してください」とお話ししました。
「NZでは不動産バブルが起こる」という方がいますが、飛行機からオークランドーウェリントン間を見る限り、土地はじゅうぶん余っています。きっと、まだまだ人口も増加するでしょう。コロナが完全に終息すれば、移民政策によって引き続き移民も増えるはずです。そのため、NZの不動産価格は、失速して価値が下がるような状況にはならないと、不動産のプロとして考えています。
Author Profile

- Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
-
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
連載コラム 記事一覧 >
最新の投稿
連載コラム2025.04.11【連載206回目】【NZ不動産の最新事情】丘陵に広がる「広い芝生+オーシャンビュー」の邸宅群…理想のKIWIライフを再現した「リゾート地から住宅地へ」の大規模開発
連載コラム2025.03.14【連載205回目】行方のわからない「NZ不動産オーナー」を探して…現地弁護士事務所からかかってきた、驚きの電話内容とは?海外に資産を保有する〈リスク〉と〈注意点〉
連載コラム2025.02.14【連載204回目】金利低下が後押しするNZ不動産市場、タウンハウスの人気と商業物件のチャンス【現地バイヤーが詳しく解説】
連載コラム2025.01.20【連載203回目】5~7%の緩やかな価格上昇が予測…今年のNZ不動産のマーケット予想は?【現地バイヤーが詳しく解説】