【連載206回目】【NZ不動産の最新事情】丘陵に広がる「広い芝生+オーシャンビュー」の邸宅群…理想のKIWIライフを再現した「リゾート地から住宅地へ」の大規模開発
2025年4月11日
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コロナ禍以降、ガソリンスタンドや商業施設の消失で勢いを失ったかに見えていたニュージーランドの都市、オークランド。ところが、市内からさらに車で1時間の、かつてはリゾート地として知られたエリアは開発が進み、昔のニュージーランドを彷彿とさせるような、芝生に平屋建ての家が集まる、住宅街ができあがっていたのです。
※本記事では、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。
ガソリンスタンド、商業施設が消えていく…!?
2025年4月、日本も新年度がスタートしましたが、ニュージーランドも毎年4月1日が税年度のスタートです。半年間のビジネスプランを作成するべく、考えを巡らせています。
私たち不動産のセールスマンは、情報やお問い合わせがあれば飛んでいくのは当然のこと、広告展開も自身で行います。業者にチラシ配布を依頼しつつ、自力でも歩き回り、販売を進めているのです。
そんなある日、私書箱にビジネス雑誌が届いていました。ページをめくると、オークランドの市役所をはじめとする行政の動きや、不動産開発、一般居住や商業用物件の紹介がされています。とくに目を引いたのが、牧草地を開拓して開発する新商業用物件計画で、土地の写真とともに完成予想図も記載されており、思わず読みふけってしまいました。
このところのメインストリートでは、ガソリンスタンドの閉鎖が目につきます。それだけなら「電気自動車のシェアが高くなっているのかな?」と思うのですが、路面店舗の閉鎖も目立ちます。コロナ禍で急速に閉店が進み、オンラインショッピングへの移行も影響しているのか、空き店舗をあちらこちらで見かけるようになりました。
コロナ禍やオンラインショッピングの影響だけでなく、先述したような商業施設の開発とも関連するのか、郊外の商業用施設を増やしたことで、市内中心の個人商店などが減り、大型ショッピングセンターへと吸収されている傾向があるようです。
正直、どこのモールへ行っても同じチェーン店が入っており、独自性に欠けているように思います。個人商店のほうが、個々に個性があり、品定めも楽しいものです。
路面店は、本来であれば一等地。建物のオーナーも、きっと苦戦しているのでしょうが、市民、観光客は個性を求め個人商店に戻ってくると思います。再度見直しを図って、通りを中心とした街のコミュニティに復活してほしいものです。
先日の新聞にも、有名店の閉鎖の情報とともに、職を失った人が増えつつあるという、暗いニュースがありました。このままニュージーランド、そしてオークランドは衰退していくのでしょうか。ふと寂しさや不安がよぎりましたが、一方で投資家ビザ申請改定の話も進んでいます。移民受け入れが盛んな観光都市オークランドは、活性化を目指してまだまだ進化を続けているのです。
別荘地・バカンス地だったエリアが「一般居住区」に
オークランド市内から北方面へ、高速道路も利用して約1時間のところに、ガルフハーバーという街があります。ここはヨットマリーナ、ホテル、レストランなどがそろった別荘地やリゾート地のような側面のある街です。1990年から2000年代前半まではよく訪れていたのですが、ここ15年は、近くは通るものの、あまり訪れることはありませんでした。
かつては国際的なゴルフ場もありましたが、近年閉鎖されたというニュースも聞き、街の様子を心配していたのですが、今回、親戚がこの地域に引っ越したことでランチの集まりに招待され、足を運ぶ機会を得ました。
久しぶりに訪れると、驚いたことに新興住宅地ができ、住宅が増えていました。もちろん、90年代から一般居住用として住んでいる人もいましたが、ここまでではありませんでした。
緑の芝生、広い平屋、向こうに広がる海…
丘に建設された家々には緑の芝生の庭があり、そこからすばらしい海の景色が広がります。親戚の家も築8年の平屋建てで、リビングルームが2つ、4ベッドルーム、2バスルーム、ダブルガレージもあるオーシャンビューの素敵な家です。とても築8年とは思えないきれいな内装でした。元は別荘用として建てられた物件だったのかもしれません。
新居がある新興住宅地のある丘の隣の丘にも宅地造成がされ、現在は土地が販売中のようです。土地価格だけで、100万NZドルはするレベルでした。
ちなみにランチに招いてくれた親戚の夫婦は、70代のリタイヤメントカップルです。35年来住んでいたオークランドの西方面の一戸建てを売却し、終の棲家の予定でこの地に移り住んだのです。
ガルフハーバーの港からはオークランド市内まで船が出ており、1時間前後で市内へ出向くこともできるため、時には街に出てコンサートや会食を楽しんでいるようです。
夏になると、友人や親戚を家に招いてBBQパーティ。まさにこれぞKIWIライフです。
私もリタイヤメント生活が見えてきつつある年齢ですが、まだ一歩及ばずといったところでしょうか。いまはまだ、老後の住処をどうすべきか考えている最中です。
これまではドアひとつ、鍵ひとつでメンテナンスも少ないアパートメントライフを考えていましたが、親戚夫婦のリタイヤメント生活を目の当たりにしたことで、オークランド地方のなかのリゾート地域に老後の居を構えることに魅力を感じ、自分の老後プランが変化しつつあります。
希望通りにできるかどうかは別として、移住して30年近くなりつつあるいま、ニュージーランドの生活についてKIWIの人たちの生活から学び、考えさせられました。
現在、移住先や投資先としてニュージーランドに注目されている方も、オーストラリア、欧米に注目して、ニュージーランドをよく知らない方もいると思いますが、一度ニュージーランドを訪問し、体験してみてください。
いきなり移住というハードルを越えるのではなく、観光で一週間から数週間滞在し、まずはニュージーランドの暮らしを経験する、という選択肢もあります。そこから感じたもので判断し、観光訪問先、投資先、移住先として検討してみてはいかがでしょうか。
かつては10年間にわたり、アジア・欧米・オセアニアとさまざまな国を訪問したなかで、ニュージーランドを選択した自分の目と感性は間違いなかったと自負しています。
ニュージーランドも進化を続けています。ますます開拓されて近代都市として発展する一方で、自然に恵まれたロケーションを生かして生活している人々もいます。ぜひニュージーランドの魅力と価値について、知っていただけたらと思います。
Author Profile

- Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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