現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 84.35 USD 0.591 2025年04月30日 23:02 PM  更新

【連載204回目】金利低下が後押しするNZ不動産市場、タウンハウスの人気と商業物件のチャンス【現地バイヤーが詳しく解説】

2025年2月14日

連載コラム 一色 良子

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2025年、新年早々にニュージーランドの大手銀行が住宅ローン金利を一斉に引き下げました。中でもウェストパック銀行は3年固定で4.99%を提示し、マイホーム購入を迷っていた人にとって大きなチャンスとなりそうです。とはいえ、市場の動きは金利だけで決まりません。不動産市場は今後どう動くのか? 現地の最新事情をお伝えします。

※本記事では、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。


 

住宅ローン金利低下のゆくえ

 

「スマートリアルエステイト」と称し、現在所属しているAriztoでは、すべてネット上で顧客との売買契約を結び、社内のやりとりも、Zoomミーティングやアプリを通じて行っています。

 

午後2時を過ぎた頃、携帯が鳴り、急いで確認すると、大手銀行の住宅ローン金利引き下げのニュースでした。各大手銀行が一斉に金利を下げたものの、銀行ごとに微妙な差があります。

・1年ローン:5.54%
・2年ローン:5.29%
・3年ローン:5.59%

と平均の金利。

しかし、ウェストパック銀行が、3年ローンで4.99%を提示、0.6%も低い数値を公表しました。

 

このニュースは、不動産業界にとって朗報です。購買意欲が高まり、迷っているマイホーム購入希望者にとっては、後押しとなるでしょう。

 

本部責任者から「Good luck for the weekend」と励ましの言葉をもらい、いよいよ新年のスタートを迎える気分です。

 

ただ、主要な顧客層である中国人マーケットは春節を迎え、多くの家族がバカンスを楽しんだり、週末は親戚との集まりに時間を費やしたりしており、我々が期待するほど活発に動いてくれるかは不透明です。

 

とはいえ、豪華な中華料理を囲み、家族との団らんを楽しみながらも、スマートフォンで手軽に不動産情報をチェックできる時代です。家族や親戚と物件について語り合う機会になればと期待しています。

 

タウンハウスの販売が好調

 

青い空、緑の芝生——。かつて広々とした土地が魅力だったニュージーランドの不動産市場ですが、近年の土地価格の上昇や開発会社の利益追求により、区画の細分化が進んでいます。1戸だったものが2戸になり、さらに4戸、6戸、多い場合は10戸もの住宅が建つケースも珍しくありません。

 

最近の住宅は、リビングが細長く、ゆったりとくつろげる空間が少なくなっています。正直なところ、現在のファーストホームバイヤーには少し気の毒な環境かもしれません。

 

一方、タウンハウスでは狭くても小さな庭がついていることが多く、デッキにアウトドアテーブルと椅子、パラソルを設置すれば、もう一つのリビングスペースとして活用できます。親戚や友人を招いても、狭さをカバーできる工夫が可能です。

 

賃貸で他人の家に住み、家主の住宅ローンを肩代わりするような生活を続けるよりも、自分の家を持ち、ローン返済を資産形成につなげる方が理想的です。私はこの想いを熱く語りながら、若い世代のマイホーム購入をサポートしています。

 

ニュージーランドでは、高層アパートよりも土地付きのタウンハウスが依然として人気です。久しぶりに通る道が、いつの間にかタウンハウスの建設ラッシュで様変わりし、古い街並みがモダンな街へと変化しているのを実感します。

 

今回の住宅ローン金利の低下は、マイホーム購入の絶好のチャンスです。今後さらに下がる可能性もありますが、あまり欲張らず、5%台になったこのタイミングで購入を検討するのも一つの手ではないでしょうか? 新年も、そう伝え続けています。

 

商業不動産、今が狙い目?

 

私は主に居住用不動産の売買を専門としていますが、縁あって小規模な商業用物件の販売を手がけることになりました。その物件は、1階が倉庫やオフィススペース、2階にはキッチンとバスルームがあり、居住も可能な「ワーク&ホーム型」の物件です。

 

しかし、昨年のマーケットは鈍化しており、価格交渉が難航。何度も契約が成立しかけては破談になりました。「もう無駄足だ」「売値が高くないから収益も少ない」「エリアが遠くてガソリン代も時間もかかる」と思うこともありましたが、諦めずに動き続けた結果、ようやくオファーを獲得。家主も悩んだ末にそのオファーを受け入れ、現在、各種調査を進めているところです。

 

果たして契約成立となるのか? それともまた無駄足に終わるのか? 私たち不動産エージェントにとっても、これはまさに本音トークの案件です。

 

しかし、一つ言えるのは「探せば手頃な価格の商業用物件がある」ということ。しかも商業用物件は、外国人でも購入が可能です。つまり、これを読んでいる日本の皆さんも、投資のチャンスがあるのです。今年前半はマーケットの鈍化が続く可能性があり、特に最初の四半期〜半年間は狙い目といえるでしょう。

 

2025年の干支は「巳(蛇)」。蛇は脱皮を繰り返しながら成長し、再生する象徴とされています。今までの努力が実を結び、達成へと向かう一年とも言われています。ただ考えているだけでは何も変わりません。そろそろ、ゆっくりでも行動に移すべき時期ではないでしょうか?

 

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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