【連載193回目】オークランド地区、2月の不動産平均価格は100万NZドルを下回る…購入は速やかに、売却は8~9月まで辛抱を
2024年3月8日
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ニュージーランドは2月のホリデーシーズンが終了し、3月からは通常モードへ。オークランドでは、100万NZドル超が続いていた不動産の平均価格も、ここにきて100万ドルを下回っています。不動産売買のリアルな現場から、最新事情をレポートします。※本記事は、2024年3月3日現在の情報に基づいて執筆されています。
「売却はオークションが最適解」と再認識したワケ
ニュージーランドの家の売却方法は、大きく分けて「オークション(競売)」「ネゴシエーション(交渉)」「価格提示」の3通りです。
マーケットが活発だったときは、オークション売りが80~90%を占めていました。しかしここ数年はコロナの影響もあり、銀行住宅ローン金利の高騰によって、無条件で買う人が少なくなり、めっきりオークション売りが落ち込みました。
嘘か本当か、なかには「収入が激減したから、車もグレードダウンせざるをえなくなった…」と嘆くオークショナーもいます。
今年に入ってからは銀行住宅ローン金利も下がりはじめ、マーケット状況も回復傾向にあり、よい兆しは見えてきてはいるものの、2月末まではまだホリデーモード。3月に入って通常モードに戻るこれからが本番です。
そんななか、2月後半、1件のオークションに出席してきました。
物件は、商業用物件と居住が重なり、ホームインカムタイプともいえるもので、投資家、大家族向けです。ロケーションもよく、担当セールスマンのコメントによると「100万ドル前半の価格帯」とのこと。
即座に「これは安い、お手頃だ!」と思いました。複数の顧客を案内し、バイヤーズエージェントとしての仕事を試みましたが、残念ながら、顧客からは「ロケーションを変える」「ローン融資が下りなかった」…などといわれ、実際にオークション参加とはなりませんでした。
この物件はいくらで売れるのか、当日売れるのか…。結果を知りたい筆者は、担当セールスマンの応援も兼ね、平日夜のオークションにもかかわらず出席し、様子を見守りました。
結果、2組で争いましたが、価格は伸びません。オークショナーもあっさり止めて、別室で買い手との交渉に入りました。説得していた時間は5分程度でしょうか。次に、家主がいる部屋に行って交渉へ。それを何度となく繰り返していました。
「結果まで、まだまだ時間がかかりそう。みんな、先に帰ってくれていいからね…!」
担当セールスマンは苦笑いです。
両者の様子を見ていた筆者は「今日は売れないかも、明日から営業再開かも…」と思い、その場を離れて和食店に行き、夕飯を食べてから帰宅しました。
ところがその後「Congeliturbations!」というメッセージが届いたではありませんか。「あれから30分後、117万5,000NZドルで両者納得しました。いま、みんなでお祝いをしています!」とのことでした。
オークションはライブ競売、ベストプライスのチャンスも多く…
2万ドルの価格譲歩が得られず、その場を去ろうとする買い手。それをすかさず追いかける担当マネージャー。担当セールスマンは引き続き家主を説得し続け、オークショナーは両者間を行ったり来たり…。
私たちが帰るときには、こんな図式が展開されていました。
もし、オークション売りではなかったら、当日の売却成立はできていなかったことでしょう。契約書が何度もやりとりされ、ようやく条件付き契約書が成立…という動きになったはずです。
オークション売りだからこそ、無条件契約でその日にSOLDとなり、売り手も買い手もスムーズに先へと進むことができました。とくに売り手は、確実な資金獲得ができたのです。
オークション売りをするなら、先行投資額も出さないといけません。私たちセールスマンも「売れなかったらどうしよう、買い手候補も現れず、閑古鳥だったらどうしよう…」という不安があります。正直、筆者も、オークション売りにはそこまで積極的ではなかったのですが、先ほどのような実例を目の当たりにすると、やはり「オークション売りがベスト」だと実感しました。
仮に、当日売れなくても、ある程度の価格帯で吟味でき、期日を指定できるチャンスもあります。「価格提示による」「交渉次第」となれば、いつだれがオファーしてくるか見当がつきませんし、仮に来たとしても、その人がベストかどうかわかりません。
もちろん、条件が多かったり、価格が低かったりすれば断ることも可能ですが、断ったはいいものの、その後だれからも連絡が来ない…ということもありえます。それらを予測して吟味・判断することは、とても重要であり、むずかしいのです。
その点、オークションはライブ競売です。家主にとって、1人でも多く買い手が出現すれば、それだけ売れる可能性が高くなり、ベストプライスを出すチャンスも多くなります。筆者も上記の例から、次の担当売り物件は、ぜひともお客様にオークション売りをお勧めしようと思いました。
購入は早めの決断を、売却は8~9月まで待って
オークランド地区の不動産の平均価格は、このところずっと100万NZドル越えでしたが、1月、2月と100万NZドルを切ってしまい、2月は、97万5,000NZドルとなりました。
そのことから、マイホームを購入したい方は、まだチャンスがあるといえます。「もう少し待てばもっと安くなるのでは?」との声もいただいていますが、そろそろ金利が下がり、投資家が動く時期だと考えられます。そのため、気に入った物件が見つかった方には、積極的なオファーをかけていただくほか、それこそオークションへ参加していただきたいと思います。
予算より少々高くても、支払い能力があるなら購入を検討してはいかがでしょうか。マーケットを見る限り、現在の数千~1万NZドル程度の損害であれば、すぐに取り戻せる、損のない不動産取得ができると思われます。
一方、売り手の方は微妙な月です。がまんできる場合は、8月~9月まではマーケットに出すのを控え、次の値上がりピークを待つのも手です。ただし、買い替えの場合は、買う方の予算も考えなければいけませんので、やはり、思い立ったときに家を売り、そして買うということが必要になるでしょう。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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