現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 88.67 USD 0.577 2024年12月14日 13:02 PM  更新

【連載第154回目】NZ・オークランド不動産の価格が急上昇、9月に100万ドル突破

2020年10月9日

連載コラム 一色 良子

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2020年9月、ニュージーランド・オークランドの不動産平均価格が100万ドルを突破しました。コロナ禍の影響で市場が失速するかと思いきや、意外な展開を見せています。主な理由として、オーストラリアや欧米各国で暮らしていたニュージーランド人が続々帰国しているほか、移住する外国人が増え、住宅需要が高まっていることがあげられます。非常にホットな状況にある不動産市場の最新情報をお伝えします。※本記事は、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。

 

不動産価格の集計13年目にして、初の100万ドル越え

 

ついに、オークランドの不動産価格の平均値が100万ドルを突破し、100万3,575NZドルとなりました。いつもならこのデータは記事の最後にお伝えしていましたが、今月は、過去13年間のデータを取り出して初めて100万ドル越えとなったため、冒頭でお伝えしたいと思います。ちなみに、2019年同じ9月のデータでは、91万6,162NZドルでした。

 

[図表1]2020年9月のニュージーランド不動産価格

 

オークランド中心地にも複数のコロナ感染者が出るなど、一部ではクラスターが発生し、スーパーやショッピングモールは店を閉め、消毒作業を行わなければなりませんでした。もちろん、我々のような不動産業者も同様で、物件の内覧時には神経を配り、注意を怠らないよう求められています。もちろん今現在も、訪問者の数をしっかり確認するとともに、常に念入りな消毒を行うよう努めている状態です。

 

 

しかし、決して不動産売買は止まっていません。購入を検討する人々は依然と同様、定期的なペースでやってきます。隣国のオーストラリアや、欧米に移住していたKIWI(ニュージーランド人)たちが故郷に戻って来ているほか、条件ギリギリで「投資家ビザ」を取得して移住する人たちが、家を購入・投資しているといった現状があるため、クリスマスを前に、ニュージーランドの不動産業界は活況を呈しています。

 

大変なスピードで売れていく「タウンハウス」

8月の記事、『NZ不動産、コロナ禍でも「高級新築物件」がバカ売れするワケ』でご紹介したHenderson地区のタウンハウスですが、全部で38戸のところ、10月5日時点で残数3戸となりました。条件付きオファーをしている方もいるため、5軒程度は解約の可能性があるものの、キャンセル待ちの方もいるため、売買が即決している状況です。とにかく大変なスピードなのです。

 

[写真1]Henderson地区のタウンハウスの風景

 

我々が決断を急ぐよう伝えると、ファーストホームバイヤーには「これだからセールスマンは…」と、セールストークを疑われてしまいます。そのような買い手は、「もうすぐ売れてしまいますよ、ご決断を!」と再三にわたって伝えても、決断してくれません。

 

仕方なく「もう、ホールドすることができないので解除します」と伝え、解除したとたんに別の買い手がオファーして成立。最初の方が「やはりオファーしよう」と決断したときにはもう遅いのです。そこでようやく、我々が強引に売却を迫っていたわけではないと理解することになります。

 

そういった方の多くは、2万ドル高い別のユニットにオファーを出してくれます。レイアウト、サイズが若干ことなるだけで、2万ドルの差…。その方々にとっては損をしたことになるのですが、そこは我々もしっかりフォローします。「2万ドルの差があるぶん、こちらのほうが条件はいいのですよ」と、お客様を慰めることもあります。

 

もちろん、そこに嘘偽りはありません。やはり、高いぶん条件はいいのです。ただし、2万ドル安いほうでも充分だったお客様にとっては、後悔の念はぬぐえないということでしょう。とはいえ、「売却するときには高く売れますよ」「ですから、前向きに考えて下さいね」と、言葉を重ねてメリット伝え、納得して買っていただけるよう努力しています。

 

ロックダウン中には、少し動きが止まっていましたが、8月に入り、我々は手持ちの約30戸の販売をしっかりとさばき、取引の完了を目指していきたいところです。

 

人気学区内の高額物件の売れ行きも「きわめて好調」

 

こちらでは「ダブルグラマーゾーン」と称している、オークランドグラマー、エプソングラマーの学校区内の物件も大変な人気です。

 

子どもの教育のため、この地域のアパートを検討し、できれば購入したいと考えている中国系移民の若い夫婦が多くいます。すでに購入済みの方も、もう一度モデルルームを見ておきたい…と、週末に子ども連れて訪れることもあります

 

[写真2]「ダブルグラマーゾーン」にある高級物件の外観

 

[写真3]「ダブルグラマーゾーン」にある高級物件のモデルルーム

 

70万~80万NZドルのタウンハウスと異なり、こちらは、120万~250万NZドルの高級アパートメントです。飛ぶように売れるという状況ではありませんが、すでに25%は売却済みとなっており、クリスマス前までさらに数字を伸ばせるよう営業中です。

 

ターゲットとしているのは、近隣の高級住宅地に暮らしつつ老後の住まいを探すご夫婦、あるいは、お子さんの教育のため学区のいい地域を探しているファミリー層です。この勢いのまま、年内にどこまで数字が伸びるか楽しみでもあります。

 

 

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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