6月~8月のニュージーランドは冬真っただ中。不動産市場の数字が比較的低くなる季節です。しかしオープンホームの訪問者も戻り、新開発物件のオファーも多くあります。実際に不動産の販売価格がどう推移したのかを見ていきましょう。※本記事は、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。
8月早々、25名もの感染者が…しかし経済は順調に復活
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、3月から4月にかけて5週間にわたるロックダウンを実行したニュージーランド。4月末に解除し、それから1ヵ月ほどは新規感染者ゼロという記録を保ちましたが、6月16日、海外から帰国した人々のなかで感染者が発生して以降、1日に1~3名ほど確認されるようになりました。
8月に入ってからは、早々に25名もの新規感染者が出ています。すべて海外から戻ってきた人たちで、帰国したのち、空港から直行する形でホテルへと隔離されました。入院を必要とする患者はいないとのことです。
しかし、街に出てみると飲食店は繁盛し、ショッピングセンターも買い物客でにぎわっており、経済が復活しつつあることを実感します。筆者が身を置く不動産業界においても動きは盛んで、オープンホームの訪問者も戻ってきています。新開発物件のオファーも多く、しかもそれが60万ドル~70万ドル台の物件に殺到するという驚愕のできごとまであったのです。
経済が復活しつつあるニュージーランド。オープンホームも好調
オークランドの西に位置する、以前はワイタケレシティーと呼ばれていた中心の街「ヘンダーソン」。ここには2014年から2040年までの市役所の開発プランがあり、我々はその過程のひとつとして、タウンハウスの開発事業の販売を請けています。38戸単位のタウンハウスで、ベッドルームは2~4部屋。販売価格はNZ$599,000~NZ$809,000です。
7月31日金曜日に話を受け、週明けの月曜日にネット広告を開始しました。月曜から水曜の3日間で6軒を売り切り、そうこうしているうちにまたオファーが増え、合計17戸の販売が成立しました。今週も営業を続けていき、現時点では6戸のオファーが出る見込みです。どうしてこれほど早く売れるのでしょうか? 理由は次の通りです。
●デポジットが購入価格の5%でよい(通常10%)
●ヘンダーソンの駅・商業施設へ徒歩圏(約8分前後)
●価格が魅力的=賃貸収入で銀行ローン返済可能な範囲
そもそも日本人は新築を好みますし、このタウンハウスは駅近であるうえ、商店もたくさんあるのです。この条件を聞きつつ地図を確認したとき、筆者もすぐさま「買いたい」と思いました。このような物件は久しぶりです。
NZ$599,000~635,000の価格帯で、家賃収入見込みが週NZ$550~580となると、純利益3.5%~4%と計算できます。
現在、銀行の金利は2.6%で、非常に借りやすい値となっています。物件の完成予定は約1年半後ですが、そのとき仮に金利が上がっていたとしても、4%前後であれば家賃収入からローンを返済することが可能です。
たとえ5%にまで上がったとしても、投資家は1%前後であれば許容範囲とみなし、その結果60万ドル台の物件に殺到した…というわけですね。
現在、価格帯の中心はNZ$739,000~789,000となっており、販売も少々鈍化しつつありますが、通勤が便利な場所であり、西方面は学区もよいということで、ファーストホームバイヤーのなかでも家族層の注目度が上がっています。完成までのキャピタルゲインを狙う人たちの目にも留まることでしょう。
不動産所有による資産形成の効果を実感
不動産の販売価格は、6月に比べ国内平均値は3.9%上昇しました。オークランドも3.3%上昇しています。コロマンデルやベイオブプレンティ―地区も1~2%上昇したなか、マルボロ地区が10.7%上昇という数字を出しました。
7月の販売価格
オークランドの新規販売リスト数は3425戸で、前月比で40%もアップしました。コロナの影響により投資物件を手放す傾向が強まっている証拠でもあります。投資家の目にかなう物件ほどやはり売却のスピードは速いもので、100万ドルを超える新築物件の販売も好調です。資産形成を不動産所有により満たしている実態を体感するこの頃です。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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