【連載151回目】「都市も空室」NZ不動産、厳しい年だが…逆境が生むチャンス
2020年7月10日
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新型コロナの流行下でも、ニュージーランド不動産の「売買」は盛んです。しかし、観光客や留学生が減少した影響により大都市の物件には「空室」が目立ちます。2020年のニュージーランド不動産投資は厳しい見込みです。とはいえ、逆境ならではのチャンスもあります。それは一体、なんでしょうか? 本記事で紹介していきましょう。 ※本記事は、オークランド在住で不動産会社を経営する著者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。
新規感染者が発生、渡航制限も持続…予断許さない状況
ニュージーランドでは、新型コロナウイルスの警戒レベルを1と下げてから4週間が過ぎ、ほぼ通常の生活に戻っています。しかし、新規感染者数ゼロを維持してきたニュージーランドですが、6月16日、海外から帰国した人々のなかに感染者が発生し、現在は2名、4名…と少しずつ増加している状況です。
その一方、ラグビーシーズンに入り、ようやくゲームが開催されました。観戦するために各地からグランドへ出向く人々や、自宅やパブでテレビ観戦する人々など、国民全体で盛り上がりました。通常の生活が戻ったと実感する一幕でした。
アーダーン首相は、海外からのフライトについて「安全性が確保できない限り開かない」と発表しています。
6月25日より日本への週1便が開港したものの、主な乗客は、転勤・異動で帰国する日系企業勤めの人や、留学から帰国してきた日本人です。日本への入国は、日本国民及び日本永住権保持者のみとなっており、2週間の隔離もあるため、観光客及び留学生の自由な行き来はまだ先になることを示しています。
6月の不動産販売価格は各地で小刻みにダウン
ニュージーランドは陸の孤島的になりつつあるものの、独自の力で社会形成を維持しています。
不動産売買の取引は国内中で盛んに行われ、決して低迷していないことが実感できます。5月の販売価格は、平均で約10%上昇しました。しかし、6月の実績だと、オークランドは0.4%ダウン、ワイカト地方は2%ダウン、クライストチャーチのあるカンタベリーでは3.1%ダウンし、各地で小刻みにマイナスの数字が出る結果となりました。ただしオークランドは0.4%ですので、ほぼ横ばいでしょうか。
日々開催するオープンホームには、多くの人々が訪れます。ニュージーランドはいま冬で、比較的数字が低くなる季節ではありますが、7月、8月の数字に注目していきたいと思います。
都市部のアパートをお手頃価格で所有するチャンス
以前の記事『室温は最低18度に…NZの「健康的な住宅整備」にまつわる法律』で、賃貸物件の運営において、ヘルシーホームの規定が厳しくなり、断熱材・暖房・スモークアラームの設置が義務化されたことをお話しました。しかし、コロナ禍の影響でサービス提供ができない面があり、雇用の課題も抱えています。また、2020年9月までは家賃の値上げをしてはいけないことになりました。小さな都市では、専門家が特に忙しく、7月1日までの対処がむずかしいため、ヘルシーホームの規定の遂行日を12月1日に延長することが決定しました。
家主である投資家の皆様にとっては頭の痛い出費ですが、家を整えて快適な暮らしを提供することは入居者の長期滞在につながり、スムーズな賃貸運営を継続させることができます。
オークランドのような大都市では、観光客や留学生の数が低迷し、シティーを中心にアパートメントの空室が目立っています。この状況は投資家にとって大打撃ですが、国内を移動する人々をうまくキャッチして運営できるよう努力し、管理会社も空室があるいまこそメンテナンスを試みるようにと工夫してご案内しています。
とはいえ、このような事態では物件を所有し続けることがむずかしくなる家主も出てきますので、シティーのアパートメントをお手頃価格で手に入れるチャンスでもあります!
いずれにせよ、今年2020年の不動産投資が厳しいことは隠せませんが、皆様がどの位置にいるかによって視点が異なります。我々は、皆様がうまく工夫して投資運営ができるようサポートしています。ご自身の物件を万人にも気に入られるような状態に保つことにより、賃貸・売却の面でもきっと成果が出るかと思います。
これから、投資(購入)しようと思っている方にとってはチャンスでもあります。家主様の状態を細かく調査し、値を下げてくる状況を把握し、よい物件をお得にゲットしましょう。
9月には選挙が開催されます。いま注目しているのは、政権がどうなるかによって、外国人が不動産物件を所有する際の条件がよい方向へ進むのか、現状維持となるか、完全にシャットアウトになるのか…というところです。いまの時期はリサーチに費やし、9月からの活動に注目したいと考えます。
Author Profile
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1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。
1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。
現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表として活躍中。
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