先日行われていた大統領選によって、ニュージーランド不動産市場の勢いは失速してしまいました。しかし大統領選後、ニュージーランド全土の不動産価格がまた大きく上昇し始めています。今回は、なぜ大きく上昇したのか、その理由を探ります。
大統領選の間、不動産の数が増えなかったことが原因か
購買者と売主両方からの強い需要があったことで、ニュージーランド不動産の数は急増し、全国の平均提示価格も2.7%上昇しました。
先日発表された、最新のTrade Me不動産インデックスによると、10月での全国の平均提示価格は62万3,700NZドル(日本円で49,896,000円 1NZD=80円として)とのことです。
Trade Me PropertyのトップであるNigel Jeffriesは、これまで5ヶ月間の動きが少なかったこと、在庫が少なかったことが理由だと述べています。
「まだ初期ではありますが、ニュージーランド不動産市場にやっと春が来たようです。
普段であれば、この時期の不動産市場は最高とも言える状態で活発に動いてますが、大統領選の影響を受けて、売買を延期する人が急増したのです。
しかし選挙も終わり、今になってやっと活発になってきたと言えるでしょう」
各地の「平均提示価格」は過去最高の数字に迫る
5ヶ月間の低迷の後に、オークランドでの平均提示価格は、去年の今頃より2.2%も高まり、91万6,900NZドル(日本円で73,352,00円 1NZD=80円として)となりました。
この数字は、これまでの最高記録である92万5.300NZドル(日本円で74,024,000円 1NZD=80円として)という値段に迫るものです。
そして、Trade Me Propertyの不動産リストの平均在庫数も10%上昇しました。
Jeffries氏によると、2010年以来、オークランドの平均提示価格が48万7,250NZドル(日本円で38,980,000円 1NZD=80円として)だった際、オークランドの住宅販売の数は58%も減少しましたが、人口が急増したことで88%にまで上昇しました。
先月、ウェリントンでの平均提示価格は、去年から11.7%も上昇し54万8,500NZドル(日本円で43,880,000円 1NZD=80円として)となりました。
これは史上最高値となる数字です。
Jeffries氏は以下のように語っています。
「今は住宅を売る最良のタイミングですが、初めて家を買う人にとっては厳しい時期と言えるでしょう。
この地域では購買者からの需要は高いので、売り手の観点から見ると、競争する必要があまり無いためです」
首都では、5ベットルーム、又はそれ以上備えた大きな家のの平均提示価格は、去年から18.7%も上昇し、史上最高値である97万3,550NZドル(日本円で77,884,000円 1NZD=80円として)となりました。
オークランドでは、販売者の平均提示価格は139万2,500NZドル(日本円で111,400,000円 1NZD=80円として)です。
ニュージーランドでは、ほぼ全ての地方で平均提示価格が上昇しました。
特にホークス・ベイでは48万7,300NZドル(日本円で38,984,000円 1NZD=80円として)、マナワトゥでは30万9,700NZドル(日本円で24,776,000円 1NZD=80円として)、ワイカトでは53万4,900NZドル(日本円で42,792,000円 1NZD=80円として)となり、全て過去最高の提示価格になりつつあります。
南島のマールバラでは、5万1,500NZドル(日本円で4,120,000円 1NZD=80円として)と最高の年次増加となり、過去最高の提示価格の46万4,650NZドル(日本円で37,172,000円 1NZD=80円として)となりました。
不動産価格指数の平均増加率(2016年10月〜2017年10月)
●ノースランド:+6.2%
●オークランド:+2.2%
●ベイ・オブ・プレンティ:+6.9%
●ワイカト:+10.2%
●ギズボーン:+7.8%
●タラナキ:+8.7%
●マナワツ・ワンガヌイ:+13.1%
●ウェリントン:+11.7%
●ネルソン・タスマン:+7%
●マールバラ:+12.5%
●カンタベリー:+0.7%
●オタゴ:+7.4%
●サウスランド:+11.1%
●ウェスト・コースト:−0.1%
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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