不動産投資において、その物件の「実態価格」を知ることは極めて重要となります。そこで今回は、NZ不動産の「実態価格」を見極める方法を説明します。
経験を積んだ投資家は「実態価格」に基づき物件を選ぶ
大抵の投資家は「儲けるにはまずは買ってみること」、『虎穴に入らざれば虎子を得ず』という格言を耳にしたことがあるでしょう。果たしてそれは正しいのでしょうか?
二つのよく知られた考え方があります。
①高利回りの物件を購入する
②最良の地域(または郊外)の最悪の物件を購入する
どちらも正しいと言えますが、高利回り、または優良な地域であるという点だけを当て込んで購入した物件のキャッシュフロー、またはキャピタルゲイン、あるいはその両方が期待を下回るということはよくあることです。
経験を積んだ投資家が物件を選ぶ際、購入時の物件の「実態価格」に基づいて判断します。この方法をマスターすることで、毎回利益を出せる購入決定をできるようになります。
実態価格が市場価格を下回る場合、投資物件には不向き
では実態価格とは何でしょうか?
実態価格は、市場価格に物件の持つポテンシャル(=将来性)を加味、あるいは潜在リスクを差し引くことで導き出すことができます。
一方、市場価格は売り手と買い手との間で期待される売価であるということができます。
しかし実態価格は、住宅市場の不完全さゆえにマイナス(ディスカウント)になったり、プラス(プレミアム)になったりします。
長期間放置された物件や、質の悪い借家人が住まう物件などといった悪い要因は、目に見えて分かりやすいのです。
しかし、例えば、地域のインフラ計画や宅地開発の可能性、売り手の高いモチベーション、経済市場サイクルのように、要因が時として目に見えない場合があります。
実態価格が市場価格を上回る場合、当然ながら、その物件は投資先として優良であるといえます。
ただ、もし実態価格が市場価格を下回る場合には、その物件は投資先としては好ましくないことになります。
<投資価値の見つけ方>
①実態価格を特定するのに最も重要なのは利回りではない
利回りは本質的にはリスク測度です。利回りが高ければ高い程、リスクも増します。
借家人によるダメージ(家賃の滞納や器物の破損)、空室リスク、質の悪い隣人の問題などです。
投資家であれば利回り計算が瞬時にできると思いますので、その計算方法については割愛します。
物件利回りが4.5%のものと4%のものとを比べた場合、通常投資家は4.5%の方が「より価値がある」と判断するでしょう。
そうである場合も時にはありますが、誤りであることもよくあります。
50万ドルの2つの物件を例にみてみましょう。
一方の利回りは4%で、もう一方は4.5%だとします。年間のキャッシュフローでみると2,500NZドルの差が生じます。
しかしこの額は、数万NZドルという、物件の隠れたポテンシャルによって生み出される可能性のある額、あるいは隠れたコスト(リスク)によって失われる可能性のある額を前に霞んでしまいます。
これについては後にさらに詳しく述べます。
②投資対象とする地域を選ぶ際は、物件が「優良地域」にあることより、その地域の今後の発展性に目を向けることが重要
従来、キャピタルゲインを得るために「優良地域」にある物件を買うよう教えられてきました。
しかしながら、平均値を下回りながらも成長する郊外にある物件で構成されたポートフォリオの方が、より高い郊外の物件のみで構成されたポートフォリオよりも、キャッシュフローとキャピタルゲインの両面において優れているのです。
それでは、利回りや良い地域性で選ぶのでないとするならば、どのようにして実態価格を特定し、利益性のある購入決定ができるでしょうか。
実態価格を特定するには、まず物件の市場価格を特定し、そこに隠れたポテンシャルやリスクを加味します。
次回は、市場価格の特定方法について見てみましょう。
Author Profile
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1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。
1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。
現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表として活躍中。
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