不動産投資を行う際は、今のタイミングで良いのか、物件価格が相場と比べて安いかどうかを見極めることが大事です。そこで今回は、ニュージーランド不動産投資のタイミングを見極めに役立つ、「人口増加予測」について取り上げます。
「人口が増える」と予想されている場所に投資
スタティクス・ニュージーランドによって、地域および地方自治区の人口増加予測が発表されました。これらの予測数値は人口密度ではなく、当該地域住民の年齢、死亡・出生率、移住人口(国内および海外からの両方)にみる傾向に基づいています。
ニュージーランド銀行(BNZ)のチーフ・エコノミストであるトニー・アレクサンダー氏は、不動産投資の機会を比較する際、これらの数字を参考にするように投資家たちに勧めています。
「わたしたちは地域の住宅市場に興味のある人々に、目的の地域の不動産相場が安いのはお買い得なのか、あるいは単に低い人口増加率、または人口の減少を反映しただけのものなのかを判断する際に人口増加予測を参考にするよう勧めています」と述べています。
以下の図表1は、2013年から2043年までの地方自治体単位での最新人口増加予測を示したものです。
[図表1]2013年から2043年までの地方自治体単位での最新人口増加予測
2013年から2043年までに、オークランド人口は55%増または83万3,000人増と、過去最大の増加が予測されています。
これはニュージーランドの人口増加予測の56%に匹敵し、国全体の人口の34%を占めていた2013年のオークランド人口に対し、2043年のオークランド人口は国内総人口の39.3%を占めることを意味します。1961年から2013年までに、オークランドの人口増加率は21%から34%に伸びました。
自治体単位の予測ではより詳細な人口増加予測値が示されており、これから投資を行う不動産投資家には有益な情報です。
人口増加の予測シナリオは非常に重要であり、それは今の住宅事情にあっては、投資家が地域の成長に過度に楽天的に売買が行われています。
今後のオークランドの増加人口を予測し、購入価格を判別していく必要があります。
さらなる人口増加が予測される「ウェリントン」
ニュージーランドには、今後人口が減少するとみられている地方自治区が17あり、その人口減少率が最も高いのがルアペフの28%、そしてオポティキの24%と続きます。
しかし、26の地方自治区で人口減少がみられると予測された2015年の発表からは、該当数が減少しています。予測シナリオにおける移住人口が高止まりした場合は、これら17の地域人口は減少に転じない可能性もあります。
ウェリントン・ノーザン・コリドー(ウェリントン〜空港線の高速道路開発)の発展がビジネスの可能性を大幅に引き上げ、海岸地帯に発展をもたらすことから、ウェリントンの北部地域の人口増加予測に注目しています。特にウェリントンではもう一波乱あるでしょう。
また、今、ニュージーランドの居住者が、都市生活の向上を考慮する中で「都市部の強い成長vs地方に根差した地域」という図式により、2つの視点から不動産価格を予測します。
不動産投資家が投資の賛否を判断する上で考慮すべき事はたくさんありますが、投資の機会を比較する際の目安として人口増加予測は役に立つことでしょう。
[図表2]都市別人口増加予測
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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