現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 91.08 USD 0.589 2024年04月20日 23:25 PM  更新

NZで注目を集める「リロケーションハウス」の事例

2017年5月26日

連載コラム 一色 良子

リフォーム リロケーション 中古物件 海外不動産 移住

ニュージーランドの人々は、たとえ築100年の家であっても、知恵と工夫で維持し続けるとお話ししてきましたが、そんなニュージーランドで現在、家の外枠だけを残した「リロケーションハウス」の売買が注目を集めています。そこで今回は、実際に2件のリロケーションハウスの事例を見ていきましょう。


 

前回の「リロケーションハウス」の記事「古い物件も新築同様に! NZ「リロケーションハウス」の事例」はこちら

 

工期が短く、市役所の認可も取りやすいことで話題に

 

ニュージーランドの家は、たとえ築100年であっても住むことができます。「えっ、築100年!?」とほとんどの方は驚きますが、もちろん100年の間何も手を加えていないわけではありません。家を継いだ人が代々備品を交換し、改装して維持しているのです。

そんな中、「リロケーションハウス」という、外枠だけ残した家を中古物件として販売する業者がいます。今回は、実際に今開発されている2件の事例を見ていきましょう。

 

リロケーション開発の事例①

ワイカト地方に、プタルルという街があります。広大な牧草地を越えた先、温泉の町「ロトルア」へ行く手前に位置しています。水がきれいな街として、ニュージーランドでは有名な酪農の町なのです。

約1000平米の土地に、現在2LDKのユニット2軒が建っています。その横に空き地があり、そこへリロケーションの家を持ってくるのです。もともと空き地には、倉庫が設置してありましたが、リロケーションハウス設置のため倉庫を解体し、更地にしました。

 

さて、このリロケーションハウスですが、実は探すのに一苦労。もちろん、多くの物件が売りに出ていますが、開発する空き地のサイズに合う家を探すのは大変なのです。また、たとえ家自体が安くても、家の改装費に費用がかかると割高になってしまうので、改装をどの程度まで行うか、検討する時間も要します。

今回購入したリロケーションハウスは、もともと農家の母屋的な家でした。物件の横には井戸があります。内装は思ったより良好で、ついこの前まで家族が住んでいたとのことでした。この家をジャッキで持ち上げ、夜中にトラックで家を移送させるのです。人員3名で空き地へ設置することができます。

さて、倉庫を解体して作った更地に、下水道管、電線を整え、市役所の認可も経て工事を完了させます。

家を移動したら、更地にそのまま置けばいいと考えていましたが、どの位置に設置をしたのか、また1軒当たりの家の土地数も計算・報告した上で、市役所の認可を得る必要があります。

開発にはだいたい3〜4ヶ月はかかりますが、新築を一から建設するよりも工期が短く、市役所の認可も取り易いため、ワイカト地方では、リロケーションハウスの開発が盛んです。

 

前後に家が建っているほうがリロケーション開発は容易

 

リロケーション開発の事例②

約1100㎡の土地の真ん中に、4LDKの家があります。これをジャッキで持ち上げて、後ろに移動させた事例です。

ガレージもあったのですが、そちらは壊してしまい、家がもともとあった場所にはカーポートを作成します。家は内装を変え、カーペット交換や壁のペンキ塗りを行います。

道路から前の土地にリロケーションハウスを設置するのですが、現在その家屋を探している最中です。

2LDKの家を2軒設置するか、3LDKの家を設置するか・・・悩みどころです。建設業者は、上記リロケーション開発事例①のような左右に建つ家よりも、リロケーション開発事例②のように、前後に建つ家の方が開発しやすいと言います。下水管が道路からつながっているため、前後の方が延長がしやすいからだそうです。左右に家が建っていると、延長線が長くなったり、工事費がかかるとのことです。

そういった提案もいただきながら、我々はリロケーション開発がし易い物件を日々探しています。空き地があればいいというわけではないので、難しいところです。

 

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Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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