物件情報を把握するうえで絶好の機会となる「オープンホーム(内見)」今回は、ニュージーランド物件の内見で、特にチェックしたいポイントを具体的に紹介します。
シロアリの痕跡がないか、ひび割れがないか等を確認
オープンホーム(内見)は、物件の第一印象を与えてくれる機会であり、すぐに自身が手に入れたい物件であるか否かを知ることができます。
しかし最初の内見においては、時として単にざっと物件に目を通して得られた第一印象以上のもの(情報)が得られることがあります。どのようにすれば物件の情報を可能な限り得ることができるでしょうか。
それは最初の内見に徹底して時間を割くことです。後日にプロを雇って建物の構造や状態を調査したいと考えるでしょう。しかし、最初の内見時に見ておくべきものがあります。
①構造
物件の内検時には、現在の持ち主が室内を最大限明るくみえるようにしていることでしょう。室内はよく清掃、整頓され、新たにペンキが塗装されていたり、ホームスタイルのきれいな家具がセットされている場合すらあるでしょう。こうしたことは家を評価する上で手助けになるかもしれませんが、この段階でより大切なことは、建物の構造に目を向けるということです。
次のことを探しましょう。
●害虫によるダメージ
木造で新しいシロアリの痕跡がある場合は論外です。木枠にフナクイムシにより穴が開けられていないか、または基礎あるいは外壁の汚れた配管にフナクイムシの痕跡がないかを調べます。
●構造上の欠陥
ガタガタする窓やドア、ドアおよび窓回りの壁のひび割れは欠陥構造の証です。
●壁または天上の雨漏れの跡
家の中に水が入ると、カビの原因、木材の腐敗、水漏れ、腐食の原因となり、構造保全性さえも失われる場合があります。
●基礎のひび割れ
家の基礎に入った小さなひび割れは問題ありませんが、大きなものは家の傾きを意味し、長い年月の中で重大な構造ダメージとなる可能性があります。
この過程で何か気づいたことはメモし、後日プロの住宅診断士に物件を調査してもらう際に伝えます。
物件だけでなく、周辺環境も要チェック
②所在地
「所在地」には一般にいう近隣住区以上の意味合いがあります。その地域に惹かれている場合でも、長い時間の中で障害となり、物件価格を下げうるものがないか、その正確な場所を把握する必要があります。
次のことを考慮します。
●往来の多い主要道路に面していますか?
主要道路沿いの家は、閑静でプライバシーが保たれた、それほど混まない道路沿いの家に比べて安価となる傾向があります。また、交通の騒音にも耐えなければなりません。
●小売または商業用地に隣接していますか?
この場合、業態およびその営業時間次第では、深刻な交通およびその他の騒音が生じると考えられます。また、物件に隣接する土地が小売または商業用地である可能性について留意すべきです。販売コンサルタントにその土地の開発予定について確認しましょう。
●物件は鉄道沿いにありますか?
公共交通機関に近いことは便利ですが、鉄道の線区と境界を共有する家の場合には、過度な騒音や住宅価格の低下に加え、家の周りにフェンスがない場合には家族(子供)の安全上の問題にまで発展しかねません。
●土地または物件の上(空)に電線はありますか?
大きな区画の土地ではときどき見かけられる光景ですが、電線は物件の価格を低下させる要因となります。
●物件は氾濫原上にありますか?
その都市、気候、そしてダムや、池、水路への近接度合によっては、物件が洪水の被害を受けるか否かは変わってきます。同じ道路沿いの家であっても、洪水で被る被害はまちまちです。もし心配であれば、販売コンサルタントや物件調査員、自治体に相談するとよいでしょう。
③周囲の環境
隣接する物件について、将来的に障害となり得る点はないでしょうか。次のことを考慮します。
●隣人の庭は手入れが届いていますか?
購入を検討中の物件に直ちに影響するとは限りませんが、売る際に影響がないとはいえません。隣人の荒れた庭がその地域へのイメージに悪影響を与える可能性があります。
●隣人はペットを飼っていますか?
自身ですでにペットを飼っている場合にはこの点は問題とはならないでしょう。内検中、隣人の飼い犬は吠え続けていましたか? ペットは放し飼いで、敷地内を歩き回っていましたか? ペットによる共有フェンスまたは共用部分へのダメージの痕跡はありますか?
●十分なプライバシーは保たれていますか?
物件(特に小さな区画の家またはアパートの場合)の周囲を違った角度から見てみるとよいでしょう。隣家に近すぎていないでしょうか。壁越しに隣人の声が聞こえてきませんか? 隣家の窓の反対側に窓が取り付けられていませんか? 隣家との間にフェンスが設置されていますか?
上記の結果で購入検討中の物件を直ちに諦める必要はありません。
これらは情報を最大限入手し、その上で決断し、満足のいく物件を納得のいく金額で手に入れようというものです。
最初の内見後、買いの申請をするか否かを決定し、その道の専門家から法的なアドバイスや建設アドバイス、会計アドバイスを得ることが大切です。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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