現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 92.74 USD 0.596 2024年04月25日 19:36 PM  更新

古い物件も新築同様に! NZ「リロケーションハウス」の事例

2017年3月31日

連載コラム 一色 良子

 

ニュージーランドで時々見かけるのが、大型トラックに「中古物件」を丸ごと載せて運んでいる光景。運搬された中古物件は、改装され、新築同様の物件に生まれ変わるのです。このような物件を「リロケーションハウス」と呼びますが、今回は、あるリロケーションハウスの様子を紹介します。


 

柱一本、ドアノブ一つも無駄にしないニュージーランド

 

ニュージーランドでは、夜中に車を運転していると、大きなトレーラーに出くわすことがあります。日本のニュースなどで、新幹線の新機種をトラックで運ぶ様子を見たことがある方もいるかもしれませんが、まさにそのような形で、大型トラックでを運んでいるのです。

 

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このような物件を、リロケーションハウスと称します。中古物件を購入し、内部を改装して新築同様に家を変身させるのです。中には「え? こんな家を保存するの?」と言いたくなるような物件でも、ニュージーランドでは柱一本、ドアのノブ一つ無駄なく解体し、販売するのです。

オークランド市内にも、窓枠などの部品を売っている店があるのですが、今回は家そのものを販売している、カーヤードならぬハウスヤードへ訪問しました。

 

トラックで家を運ぶ・・・豪快な搬送に見えますが、このような物件はまさに宝の山なのです。

 

新築を建設する場合、家のデザインから基礎工事・内装建設まで行うと、時間とコストが多くかかります。現在は建築コストも上昇しており、200㎡の3~4LDKの物件を建築する場合、建築費用は、30万NZドル~50万NZドル(約2400万円~4000万円)程度もかかります。

その点、リロケーション物件は安く、底値の物件は3万NZドル(約240万円)、条件が良い家は、15万NZドル(約1200万円)。それに内装工事費用を加えても、5万NZドル~15万NZドル(約400万円~約1200万円)程度で購入できます。

新築物件の二分の一、又はそれ以下の費用で建設でき、さらに工事期間も三分の一で済む点に人気の秘密があります。

 

古い物件特有の「クラシカルなデザイン」も人気の理由

 

「家を売りませんか?」という看板を時折見かけるのですが、これは我々不動産屋による家を売却しませんか? という宣伝文句ではなく、家を売却する家主へ向けての広告です。

我々が訪問したある物件の話を紹介しましょう。

こちらでは、トラックによって新しい家が運ばれてきたところで、ちょうど検査を行っていました。交渉を行う会社に、希望する家の内容を伝えておくと、該当する家が出てきた際に連絡をくれます。この会社の社長は若い方ですが、積極的に相談に乗ってくれました。

こちらの物件は、実際に家を移動させて、改装した物件です。決して豪華ではないですが、賃貸運営ができるレベルまで改装工事を行いました。壁も穴が開いた状態でしたが、断熱材を入れ、ペンキを塗り替え、新築同様に改装していきます。

 

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3万NZドル程度の価格で販売している家は本当に古く、家の木枠だけ使うと言っても過言ではない状態。このような物件は、全面改装をしないといけませんが、新築より工期を短縮でき、昔の家特有のクラシックなデザインであるため、ニュージーランド人の若い家族、定年間際の中年層に人気を得ています。

昔は、土地が1000㎡以上ある家が沢山ありました。その土地を二分割して、空き地にこのリロケーションハウスを設置し、1軒屋として単独で販売するか、自分で住むといった使い方をします。

投資用に使用する場合は、土地を2分割し、2軒家を建築することで、1軒分しかなかった収入を2倍に増やすことができるメリットがあります。

 

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我々不動産業者も、この宝の山を求め日夜物件探しをしています。いつの時代でも土地を所有することは大事です。今すぐ家を建築せずとも、ランドバンキングとして保有するのも得策かと考えます。
【連載第48回】NZで注目される土地の買占め投資法「ランドバンク」とは?

 

物を大事にするニュージーランド・・・古いからといって解体しない、それどころか、それをビジネス化するところが面白い国なのです。

 

 

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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