現地不動産屋が教えるニュージーランド移住&投資ガイド
Currency Rate1NZDJPY 92.6 USD 0.595 2024年04月26日 07:27 AM  更新

地震によるニュージーランド不動産市場への影響は?

2016年11月25日

連載コラム 一色 良子

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11月14日未明、マグニチュード7.5の地震が発生したニュージーランド。日本でも報道されたのでご存知の方も多いかと思いますが、実際の現場ではどのような状況になっているのでしょうか。今回は、地震後のニュージーランド各地区の被害状況と、不動産市場への影響を見ていきます。

 

オフィスビル群に大きな被害があった首都ウェリントン

11月14日の未明、ハンマースプリングスを震源地とするマグニチュード7.5の地震が発生しました。この地は、温泉で有名な観光都市で、日本人観光客も多く訪れています。

ホエールウォッチングで有名な、カイコウラの町も被害に合いました。この地震で被害を受けた方へのお見舞い、および、お亡くなりになった方へのご冥福をお祈り致します。

ニュージーランドの首都である、ウェリントン市内中心のオフィスビル郡にも被害がありました。しばらくの間立ち入り禁止でしたが、ようやく最近建物に戻ることができ、業務を再開しています。一方では壊れたビルの解体も順次行われており、被害の状況は隠せるものではありません。

地震当日、震度1程度の揺れを感じたオークランドでは、地震なのか、自分がふらついているのかわからない状態でした。幸い、オークランド、ワイカト地方に被害はなく、普通の生活が送れていることに感謝しています。

筆者はオークランドに移住して約20年になりますが、震度1程度の地震は今までに3回経験したことがあります。

ウェリントンは首都ですから、政治の中心となっています。しかし、ビルや建物の被害が出たことで、首都移動説も流れており、ますますオークランドの住宅不足、強いては不動産価格物価上昇への兆しが予測されます。

 

家賃が上昇し、不動産投資家にとっては追い風に

住宅物価高騰による自己住宅所有率が低くなり、賃貸物件への需要が高くなってきています。オークランド市内には、現在1万4,000戸のアパートメントを中心とした賃貸が出ていますが、1%程度しか空室率がなく、賃貸運営の好調さが数字に表れています。

この四半期で比較してみると、市内中心のアパート建設が特に盛んとなっています。2014年、2015年の同時期四半期の賃貸部屋数は、それぞれ263戸、285戸でしたが、今年は387戸に増えています。

家賃に関しても、低い数値ながら上昇中です。3LDKの平均家賃は、週507NZドルから519NZドルとなっています。ただ、これはあくまでも平均値なので、海が見える豪華な物件では、3LDKで週850NZドル〜950NZドル、中には、1,000NZドルを越える物件も数多くあります。日本円にして、月約30万円の家賃です。

収入の40%から半分が居住費となりますから、一般庶民にとっては厳しい状況です。特に若い世代では、フラット化=共同生活での暮らしを余儀なくされている現状です。

マウントイーデン地区という高級住宅地がありますが、ここは以前までは市内へのアクセスの良さから、大学生の寮のような3LDKの一戸建てで、共同生活をする若者が多い場所でした。お祭りの時期には学生達が大騒ぎする様子が見れたものです。

しかし現在は、市内にアパートが建ち、学生達は便利な場所、近代的なモダンな生活へと移行してしまいましたので、元の一般住宅地に戻り、高級住宅化してきた歴史があります。

投資物件購入を検討され、視察に来ていただくお客様には、本当にこの物件を購入して、週500NZドル、600NZドルもの家賃で借りてくれる方がいるのか? 空室率はどれくらいだとよく聞かれます。

もちろん、賃貸管理会社が保証してくれるものではありませんが、地方都市の一部の会社では、3週間営業広告を試みて入居者が見つからない場合は、家賃保証をしてくれます。それだけ、入居者を探せる自信があることが伺えます。

また、管理会社間の競争も激しくなってきていますので、差別化のために家賃保証が付け加えられているのです。

クリスマスまで、あと4週間となりました。現在不動産業界は、超ハードな時期を迎えています。賃貸物件であっても、クリスマスは新居で過ごす習慣があることは連載第62回で説明しました。引越し会社や清掃会社など、家=住まいに関する業者にとって一番の稼ぎ時でもありますので、街全体に活気があり、人々の暮らしの豊かさを感じる時期でもあります。

ニュージーランドで不動産投資が盛んに行われている理由の一つとして、不動産売買、賃貸運営が、家主リードで行えることがあります。時期によっては逆転することもありますが、まだまだ家を提供できる側にとって、選択の余地があり強い立場が保たれています。

なお、一軒家であれば基本的に家具なしの状態で貸しますので、家主側は家自体を用意するだけでいいのですが、アパートメントの場合は、家具付の方が高く貸せる場合があります。特に学生向け賃貸物件の場合は、机も含む家具を用意した方が、限られた年数のみ滞在する予定の学生に喜ばれます。

週50NZドル~80NZドル高い家賃が取れたとして、年間2,600NZドルから4,160NZドルの家賃収入。そして、ベットなど家具一式用意する費用が、3,000NZドル〜5,000NZドルとなります。1年目の家賃上昇でその費用はまかなえ、2年目からは利益率が上がりますから、家具付で運営することが可能となります。

もし、家具は必要なし、処分したいということになると、最低でも、全体で300NZドル〜500NZドルが戻ってきます。又は、寄付をして社会貢献することも良い選択でしょう。

物を大事にする国ゆえ、中古家具や二束三文と思われる品でも、価値がゼロになることはないのです。

Author Profile

一色 良子
一色 良子Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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