住宅価格の上昇が驚異的なペースで進むニュージーランドですが、「バブル崩壊」のリスクはどの程度あるのでしょうか。 銀行が公表したデータをもとに、世界各国の都市と比較しながら「バブル崩壊」のリスクを探っていきましょう。
各国大都市を超えるペースで上昇するNZの住宅価格
国際不動産仲介業者であるナイト・フランク社による最新の世界住宅都市指標(Global Residential CitiesIndex)によれば、世界の150都市の中で、オークランドの住宅価格の伸び率は14位でした。
この指標では、昨年の第二四半期から今年の第二四半期までの住宅の値動きに応じて150都市がランキングされており、オークランドは中国の天津と同位の14位を付け、年間の価格上昇率は14.6%でした。
また、ウェリントンも27位にランクインしており、年間の住宅価格の伸び率は10.7%でした。これはオークランドが世界で最も住宅価格が伸びている都市の上位10%に含まれることを意味しており、年間伸び率が14.4%であったロンドンを上回る結果です。
オークランドの伸び率を下回ったその他の都市には、トロント(12.4%)、メルボルン(8.2%)、ムンバイ(6.8%)、東京(4.9%)、ブリズベン(4.3%)、シドニー(3.6%)、ニューヨーク(2.1%)が名を連ねています。
オークランドの住宅価格にみる伸びは、リストのトップを飾る中国の深セン(47.4%)、上海(33.8%)、南京(31.5%)の3都市に比べればまだ控え目に映ります。中国人移住者がオークランド物件をお買い得と判断する理由はここにあるかもしれません。
今期の深センの年間住宅価格の伸び率である47.4%は、今年の第一四半期に記録した63%から大幅にダウンしています。
ナイト・フランク社は、同指標について以下のように解説しています。
「中国の地方自治体の多くが今、数多くの厳しい過熱抑制政策を新たに打ち出し、各地で販売を抑制しようとしています」
こうした政策により、非地元民による物件購入は1軒のみに制限され、また地元民による2軒目の住宅購入に関するルールが強化されています。
現状ではNZに「バブル崩壊」のリスクはない!?現状ではNZに「バブル崩壊」のリスクはない!?
一方で、35都市で年間住宅価格が下落しており、これにはシンガポールの-2.4%、パース(西オーストラリア)の-4.8%、香港の-8.1%、そしてこの6月までに11.2%下げたモスクワが含まれています。
以下、各国の名目上住宅価格指数。トップは、オーストラリア1位、次いでイギリスが2位ニュージランドは4位となっています。
[図表1]各国の名目上住宅価格指数
以下は、UBS銀行が公表した住宅バブルリスクのインデックス。ニュージーランドはランクインしておりません。
[図表2]住宅バブルリスクの高い国はどこか?
9月30日に最新のニュージーランドQV住宅平均価格が発表されました。オークランドの平均価格は、100万ドルを超えて、年間上昇率が15%を超えて、以前高い成長率を誇っています。
近郊では、ハミルトン、ワイカト地区が30%近い上昇しており、オークランドの一極集中を避けるべく、移住ポイント加算や銀行融資条件緩和の影響が出ており、オークランドに比べて価格が半程度と割安なため、初回住宅購入やリタイアメントによる人口増加の影響もあるものと思われます。
住宅価格上昇は、オークランドシティから近隣都市にかけて、広がりを見せており、更なる上昇が投資家に期待されています。
[図表3]地域別住宅平均価格及び上昇率(1年/3ヶ月)
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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