ニュージーランドの平均住宅価格は、まさにロケットのような上昇率を見せています。今回は最新データをもとに、ニュージーランドの平均住宅価格の推移と、投資家の動きを説明します。
依然として上昇が続くNZの「平均住宅価格」
ニュージーランドの住宅市場(というロケットの推進力)は依然衰えを知らず、先月発表されたQV(ニュージーランド不動産鑑定公社)の指標では、国内の平均住宅価格は初めて60万NZドルを超えました。
オークランドでは急伸が続き、7月には一日当たり552NZドル上昇し、月の終わりまでには平均住宅価格は100万NZドルの大台に迫りました。この国内最大都市での7月時点の平均価格は6月の97万5,087NZドルから上昇して99万2,207NZドルとなりました。
オークランド市場は前年度より16%、過去3カ月間で5.2%上昇しました。オークランド市場での価値は2007年の最高値と比較し81.6%上昇しており、また、この1年間に上昇した15.55%のインフレ率を加味すると、2007年の最高値より54.2%上昇したことになります。
先月QVが発表した住宅価格指標から、7月の国内の居住物件価値がこの1年間に14.1%上昇したことが分かります。過去3カ月間でみた場合6.1%以上の上昇となり、また、2007年後期の市場最高値に比較して45.4%上昇しています。
インフレ率を加味すれば、国内の年間上昇率は僅かに下げて13.7%となり、2007年の最高値から23.5%上昇していることになります。現在の国内平均価格は60万NZドル越えを果たし、60万2,434NZドルをつけています。
オークランドを含めた6月の国内平均価格は59万909NZドルであり、この数字から7月中の国内住宅価格は、一日当たり372NZドル近く上昇したことが分かります。
新ルールによって「買い控える」投資家も
QVナショナル・スポークスマンのアンドレア・ラッシュ氏は、低金利、活発な投資、および高い純移住率が裏支えし、住宅価格はニュージーランドの多くの地域で急伸していると述べています。
「ハミルトン、クイーンズタウン・レイクス、そしてタウランガでは過去最高の伸びをみせており、ハミルトンに至っては2015年7月以来31.5%上昇しています。これは同期間のオークランド市場の上昇率である16%の約2倍の伸び率です」
「しかしオークランド市場での伸びも加速し続け、この3カ月間で5%以上上昇しました」
続いて、ラッシュ氏はウェリントンおよびダニーデンの住宅物件市場も、また強い伸びを示していると述べました。
「需要と供給に折り合いがついているクライストチャーチでの価格上昇は比較的に緩やかであり、また、賃貸物件の過剰供給が賃料低下を招いています」
住まうことを目的としない物件の購入を行う者に対して(購入物件価格の)、40%の保証金を求める準備銀行の新ルールが住宅市場にもたらす影響について発表するのは、時期尚早であったとラッシュ氏は言います。
「しかしながら、一部の地域においては、この新ルールによって投資家による購入が見送られた事例が既に報告されています」
以下の表では、国内の平均住宅価格を示しています。
[図表]QV住宅価格指標2016年7月発表
Author Profile
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1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。
1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。
現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表として活躍中。
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