『遺言』と聞くと、資産家の死後に親族による骨肉の争いを防ぐために行うもの。というイメージはないですか?
ニュージーランドでは遺言を作るということはとてもポピュラーなこととされています。義務ということではないですが、多くの人が遺言を残す事は大人として当たり前、と感じていることなのです。
自分たちだけで作ることも可能ですが、ほとんどのケースは、Solicitor ソリシターと呼ばれる弁護士(事務弁護士)と話をして大筋を決め、その後夫婦別で、遺言の原案を作ってもらいます。
遺言に書かれる内容はお金のことばかりではありません。
内容としてはどちらかが先に死んだ時のこと、夫婦同時に死んだ時のこと、昏睡状態や自分では判断がつかなくなったような場合自分の代わりに誰が決定や署名ができるか、土葬か火葬か、埋葬地など。
お子さんがいる場合は、子供の面倒や財産は大きな比率を占めます。
まだ子供が若い間の資産管理には、Trust トラスト(信託)を設立して、すでにあった貯金や家を売ったりしてできたお金は全てそこに預け、子供が25歳になるまで管理してもらいます。
ニュージーランドではファミリートラストはごく一般的なことで、信託管理を依頼する人(委託者)、信託を管理する人(受託者)、信託から利益を得る人(受益者)からなる法的枠組み/財産管理システムのことです。受託者は名目上は信託された財産の所有権を持っていることになりますが、その管理や処分は受益者の利益のために行う義務があります。
ニュージーランドで遺言を作るには証人として成人2人の署名が必要で、それがないと法的に有効にはなりません。なお、遺言の中でお金を受け取るなど利益を得る人(受益者)は証人にはなれません。
また、遺言書がない場合は、死んだ本人のみの名義のものは何一つ動かすことができません。不動産も勿論該当します。
個人名義もそうですが、共同名義の際も気をつけて下さい。
法的に相続権利がある人が裁判所に遺産管理の申請をできますが、遺言を作ることよりも費用と時間がかかります。そのため、ある程度の年齢の方は、そういったことも含め、遺言書の作成は選択肢の一つとして念頭に入れた方が良さそうです。
ニュージーランドには相続税や贈与税がないため、ご先祖様の財産は代々引き継がれていくもの。その中でこういった遺言に対する考えが根付いたのかもしれませんね。
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