国内の住宅価格が徐々に落ち着いてきていると言われるニュージーランド。今回は、オークランドやウェリントンといった都市の平均住宅価格について、「最新住宅価格指標」をもとに具体的に見ていきましょう。
ハミルトン、ウェリントン等では住宅価格が大きく上昇
四半期の最新指標は、オークランドを含め、国内の住宅価格が落ち着いついてきていることを示しています。
現在のニュージーランド全体の平均住宅価格は55万9492NZドルで、この3カ月間に0.2%上昇したのみでした。2月までの3カ月間にオークランドの平均住宅価格は0.2%下げて93万1061NZドルとなりました(詳細は下表参照)。
オークランドの一部では物件価値の下げ幅が大きく、2月までの3カ月間にオークランド都市部の下落率が0.3%に留まったのに対し、ノースショアやワイタケレでは1.1%下落しました。ただ、同地区の北部および南部での平均住宅価格は上がり続けており、ロドニーで1.8%、パパクラで1.9%、フランクリンでは1.7%上昇しました。
一方、ハミルトンでの平均住宅価格の伸びは強く、2月までの3カ月間で3.7%上昇し、タウランガにおいては5.5%も上昇しました。
また、その他の主要都市での平均住宅価格は、ウェリントンで4.2%、クライストチャーチで0.8%、ダニーディンでは2%上昇しました。
ニュージーランドの住宅市場を支える投資家の存在
四半期指数のナショナル・スポークスマンであるアンドレア・ラッシュ氏は、2016年の第一四半期の住宅価格が、この3カ月間で下降傾向に転じたオークランド地区を除いてニュージーランドのほぼ全域で上昇したと述べました。
さらに、「ハミルトンおよびウェリントンにおける住宅市場の強い上昇傾向は依然衰えない一方で、クライストチャーチ市場は比較的穏やかでした」とラッシュ氏は言っています。
コア・ロジックス(Core Logic)の最新の住宅購入者分類データによれば、2月までの3カ月の間にオークランドで買われた物件の内の44%が複数物件の所有者(多くは投資家)によるもので、21%が住宅初回購入者、そして24%が移転者によるものでした。
また、その他の地域では、複数物件の所有者が売り上げの37%を占め、住宅初回購入者が26%、移転者が24%を占めました。
四半期による国内全体の平均住宅価格については下の表をご覧ください。
<上記データを参照する上での注意事項>
①上記の表中の情報は月ベースの物件価格指標に基づいています。この指標はコア・ロジックスのシステムに入力された過去3カ月間の販売データに基づいています。例えば、6月末までの情報は4月1日から6月30日までに入力された販売(データ)に基づきます。
②「現在の平均価格(または中間価格)」とは、最新指標に基づく、対象の地域内で開発された住宅物件全ての平均価格です。3カ月間に販売された物件の価格を単に示すだけの平均販売価格または販売価格の中央値ではありません。
③3カ月、12カ月ごとに割合(%)は変わり、2007年に市場がピークを迎えて以来、同値は同該当期間(3カ月または12カ月)から現在までの物件価格指標の変化に基づいています。
Author Profile
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1982年、大阪女学院短期大学英語科卒業。カリフォルニア大学デイビス校留学。帰国後、旅行会社のツアーコンダクターに従事。1987年、ニュージーランドツアーの添乗を機に、移住希望を持つ。
1995年1月の阪神・淡路大震災を経験し、1996年に移住を実現。 自己の居住用物件さえあれば、落ち着いて生活ができると感じ、ワンルームマンション購入を実行。その経験を生かし、不動産業界に参入。当時インターネット環境が整いつつある中、日本語ウェブサイトを開設し、留学・観光・不動産投資についてのコンサルティングを始める。
現在、ニュージーランドの大手不動産売買仲介会社であるHarcourts New Lynn(ハーコウツ・ニューリン)支店にてセールスコンサルタントとして活動しながら、日本人のための投資コンサルタント会社Goo Property NZの代表として活躍中。
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