ニュージーランドでは、販売住宅の少なさが大きな問題となっていましたが、最近になって販売住宅数に変化が生じてきました。今回は、ニュージーランド不動産の「新規物件数」および「平均提示価格」の最新事情を見ていきましょう。
新規物件数と平均提示価格が大きく伸びたNZ
先月、ニュージーランド不動産専門ウェブサイトの「Realestate.co.nz」に、新規住宅物件数に増加がみられ、不足する住宅供給の一助となるとの見解が掲載されました。
[図表1]Realestate.co.nzトップページ
この不動産専門ウェブサイト(Realested.co.nz)では、先月1万1989件の住宅が新たに売りに出されました。同サイトの新規登録物件数は、去年12月の8011件、今年1月の8144件の約50%増しに相当します。
多くのエージェントが登録物件数の不足について言及し、潜在購入者が適切な物件を探し出せないでいるなか、この新規物件ラッシュは高まる市場へのプレッシャーを緩和してくれるとみられています。
住宅不足に陥り、供給へのプレッシャーが強くあるオークランドでは、2月の同サイトへの新規登録が4202件となり、昨年同月の4142件をわずかに上回りました。2月の新規登録数としては、2013年以来過去最高でした。
他の主要都市でも同様の傾向がみられ、カンタベリーでは1618件(昨年同月では1608件)、ウェリントンでは1000件(昨年同月では1030件)の新規物件登録がありました。
不満を抱えたオークランド物件の投資家、またオークランド物件以上の利回りを求める投資家たちの受け入れ先となっているベイ・オブ・プレンティでは、先月806件の登録が同サイトにあり、昨年2月の729件に比較し15%の伸びをみせました。
下流向けと上流向け物件では異なる今後の見込み
また、先月の同サイトにおける平均提示価格でも大きな伸びがみられました。
季節調整後、2月の国内平均提示価格は56万5861NZドルで、1月に比べ4.3%の上昇がみられましたが、昨年8月の最高値である56万8215NZドルには及びませんでした。しかし、オークランドでの2月の平均提示価格は過去最高の86万6080NZドルであり、1月より4.5%の伸びをみせています。
これは、中流~上流階級向け市場ではさらなる物件流入が見込まれ、下流~中流層向け物件は依然厳しいままとなる可能性を示しています。
国内全域の新規登録物件数および地域別平均提示価格は、以下のチャート通りです。
[図表2]2016年2月の全国新規登録物件数
全国新規登録物件数・・・1万1989件
前年同月比較・・・・・・-0.2%
[図表3]2016年2月の地域別平均提示価格
地域別提示価格・・・56万5861NZドル
前年同月比較・・・・4.3%
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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