2015年、ニュージーランドの純移住人口が過去最高を記録しました。今回は、その内容を詳しく見ていきます。
2015年の純移住人口は6万4930人に
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によれば、2015年の純移住人口が過去最高を記録し、史上最高の6万4930人となりました。また、同年のオーストラリアからの純移住者数は800人で、1991年10月以来最多であり、また、2015年の旅行業は前年比10%の増収となりました。
絶え間なく押し寄せるオーストラリアからの移住の波、そして学生ビザおよび就労ビザを得た移住者たちによって、年間純移住者数は12月に過去最高を記録しました。
経済学者たちは、2013年以来3倍近くにもなる移住者(その半数はオークランドでの居住を望んでいる)が、オークランドの住宅価格および賃料を引き上げているとしながらも、それが労働力の供給となり、賃金インフレを抑えていると述べています。
実際、2015年のオークランドへの純移住人口の1/3がインド人留学生であり、オークランドCBD(中央商業地区)の物件賃料を引き上げる一方で、サービス業の賃金を引き下げる要因となっています。
オーストラリアの経済成長の鈍化、および留学生の滞在期間中の労働を許可する2013年の政府方針の変更が現在の状況を招いたといえます。
月間記録も17ヵ月連続で更新
それでは、今回の純移住人口増について、より詳しく見ていきましょう。ニュージーランド統計局は、2015年の純移住者数は史上最高の6万4930人(前年比:27.5%増)を記録し、17カ月連続で月間記録を更新したとしています。
同年の移住者による入国は12%増えて12万1900人となる一方、出国者数は2%減らして5万7000人でした。また、同年のインドからの移住者は3200人増えて1万4500人、オーストラリアからは2000人増えて2万5300人、中国からは1500人増えて1万1000人、そしてフィリピンからは1500人増えて5400人でした。
2015年中のオーストラリアからの純移住者数は800人で、これは1991年10月以来最多であり、3カ月連続で増加しています。また12月のオーストラリアへの純移住者数は398人でした。
2015年の学生ビザによる移住者は5000人増えて2万7900人、就労ビザでは4500人増えて3万7800人でした。また、同年のニュージーランド人およびオーストラリア人の移住者数は1800人増えて3万5700人でした。
2015年の就労ビザによる移住者の最多国籍はイギリス人、フランス人、オーストラリア人、ドイツ人でした。2014年12月以来、就労ビザによる移住者は14%増えましたが、これにはワーキングホリデービザによるものも含まれます。さらに、定住ビザを持つ移住者は1万4100人に達しましたが、大半の移住者は、ニュージーランドでの住居を、入国前ではなく入国後に取得しています。また、多くは短期ビザ(例:就労ビザ、学生ビザ)で入国し、ニュージーランドで住んでから定住ビザに変更しています(ニュージーランド統計局)。
地域別に見ると、2015年のオークランドへの純移住者は7000人増え、3万人となりました。カンタベリーはオークランドに次いで人気があり、6800人でした。また、ワイカトでは2600人、ウェリントンでは2400人、ベイ・オブ・プレンティでは2100人でした。
一方、短期訪問ビザによる入国は10%伸びて史上最多の313万人に達しました。そのうち、中国からが9万1000人増えて35万5900人、オーストラリアからは7万9000人増えて133万人でした。
この6万4930人という新たな移住者によってもたらされる住宅需要のインパクトは、大きなものとなるでしょう。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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