ニュージーランドの不動産物件の売買はオークションが主流になりつつあり、10月、11月がそのピークです。今回は、オークションのシステムと参加に際しての注意点について解説します。
10月と11月は不動産売買のハイシーズン
ニュージーランドでは不動産売買のハイシーズンへと突入しました。最近は一年を通じて売買が盛んですが、とはいえ、10月〜11月のこの2ヶ月が最大のピークになります。9月の今はすでに家の内装の準備が整い、10月初旬に売り切りたいという家主が9月にマーケットに出します。
買い手側からすると、沢山の物件から選択できるメリットもありますが、競争相手も多くなるのが難点です。しかし「これが駄目なら次がある」とばかりに、複数の物件をターゲットに渡り歩くのです。
後から見た物件のほうが、最初に予定していた物件より魅力的だったというケースもあり、ニュージーランドの不動産売買は運に大きく左右される状況でもあります。
主流の「オークション販売」のメリットとは?
ニュージーランドの不動産物件の販売方法は、大きく分けて3つあります。
1.定価付け
2.By Negotiation (交渉による)
3.オークション(競売)
現在ではオークション販売が主流になっており、売りに出される物件の8割のシェアを占めています。土曜日、日曜日、そして水曜日と木曜日も、盛んにオークションが開催される曜日です。今の時期、週末の住宅街はオークション目当てに人と車が集まってきて、とてもホットです。
ですが、なぜオークション販売が良いのでしょうか。
●家主側のメリット
売買の成立が4週間の営業内ではっきりするため、家主は次の計画が立てやすい。
購入希望者が競い合うためベスト価格になりやすい。これは最大のメリット。
●購入者側のメリット
購入可能かどうかが当日わかる。
すぐ結果が出るためオークションの掛け持ちも可能で、時間が節約できる。
ここでひとつご注意いただきたいのは、オークションに参加する場合、当日までに条件を整えておく必要があるということです。資金の用意、建物についての調査もそれに含まれますが、資金として住宅ローンを利用したい場合は、銀行の融資承認が必要です。
オークションの際は、物件の担当セールスマンでさえ、当日まで家主の売却期待価格を聞かされない状況にあります。そのため、市役所が査定するCV価格(Capital Valuation Price)にどのぐらいの差が出るかを可能な限り聞き出し、相場を踏まえて参加時の予算を決め、当日を待ちます。
とはいえ、競り合ううちについ熱くなりすぎて予算オーバーしてしまう人もいます。筆者の場合は、バイヤーズエージェントとして、家主の購入履歴、家の内装状態、近隣の売却データー価格を総合し、買い手の方にアドバイスします。やはり、一人のセールスコンサルタントを選択し、購入までのプロセスを相談するのがいいでしょう。
なかには、「オークションに参加すると高く買わされてしまのでは・・・」と心配する方もいらっしゃいます。もちろんそういうケースもありますが、毎回、複数の競争相手がいるとは限りません。
また、どんな方法であれ、売り手が希望する価格に達していない場合は購入できないので、オークションで誰も手をあげないと、価格を下げてくる家主もいます。ですから、あまり臆することなく参加してみてはいかがでしょうか。
Author Profile
-
元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
連載コラム 記事一覧 >
最新の投稿
- 連載コラム2024.12.13【連載202回目】来年は、売り手市場か!? 人口増加で宅地造成が加速するNZオークランド。年末状況および来年度予測は?【現地バイヤーが詳しく解説】
- 連載コラム2024.11.08【連載201回目】ニュージーランドの不動産業界は「繁忙期」に突入!少しでも安く買いたがる「バーゲンハンター」と売り手との交渉模様はいかに?【現地バイヤーが解説】
- 連載コラム2024.10.15【連載200回目】日本人には理解しがたい?クリスマスの足音が聞こえるこの時期、ニュージーランドの人々が探す「ハウスシッター」とは?【現地バイヤーが解説】
- 連載コラム2024.09.13【連載199回目】日本の感覚ではまだ金利は高いかもしれないけれど…ニュージーランド不動産、住宅金利5%台突入で春が来た!【現地バイヤーが解説】