2014年は12地域のすべてで不動産価格が上昇したニュージーランド。不動産売買契約も成立までおよそ1ヶ月という状況です。
2014年は全体で5.4%の不動産価格上昇
ニュージーランドの不動産研究機関、REINZ (Real Estate Institute of New Zealand)によると、ニュージーランド不動産のマーケットは依然強く、2014年の1年間で全体で5.4%上昇し、平均価格45万NZドルを超えました。 ニュージーランドの12地域はすべてが上昇していますが、なかでもカンタベリー/ウェストランドが最も高く16%、次いで経済最大都市オークランドが13%となっており、首都ウェリントンについては3.8%となっています。 不動産価格が最も高いのはオークランドで、平均74万9000NZドル。続いてセントラルオタゴレイクが53万5000NZドル、ウェリントンが43万5000NZドルです。
不動産売買成立は平均1ヶ月というスピード
不動産売買成立も非常に早く、オークランドが平均29日、ウェリントン35日、カンタベリーも29日となっており、北部の最も遅い地域でも、最長59日で売買が成立しています。住宅市場が強い背景には、以下の理由があげられます。
①堅調な経済成長
2014年の(経済成長率)は3.2%、2013年3%、2012年2.7%と、先進国の中ではトップクラスの伸び率を誇っています。牛乳をはじめとする酪農品に対するアジアの消費者の需要増加を追い風に景気拡大ペースが加速しており、ニュージーランドの乳牛数は660万頭、羊の数は3090万頭と、人口を上回っています。過去1年間で酪農品の価格が約48%上昇したことも同国にプラスとなっています。
②移民政策による人口の増加
ニュージーランド政府は、移民の受け入れによって経済成長率を押し上げてきました。同国の労働者の4人に1人は移民で、ここ数年の労働力の伸びの約6割は移民によるものとなっています。また、ニュージーランド生まれの人々の財政貢献が28億NZドルであるのに対し、移民の財政貢献は33億NZドルにものぼり、納税者としても移民の存在感は大きいことがわかります。足元では過去10年間で最高水準の流入となっています。
移民の増加は、労働人口の増加につながるだけでなく、住宅や自動車、教育から医療に至るまで国内のあらゆる分野での需要を支え、経済成長に貢献すると考えられます。 今後についても、ニュージーランド政府によると、2015年にかけて移民の流入は加速すると予想されており、移民局によると、移民の流入は2015年の名目GDPを約1%押し上げるとみられています。
今後も、移民流入の拡大は労働者数の増加や内需の拡大に寄与するものと考えられ、ニュージーランド経済を下支えすることが期待されます。
先進国の主要都市の中でも割安なNZ不動産
都市の㎡単価(USD)で見た場合、オークランドの㎡単価はロンドンの7分1、ニューヨークの4分の1、東京の2分の1と、先進国中で割安な市場と言えます。また、オークランド都市計画によると、移民政策による人口増加に伴い、年間1万3000戸の新築需要に対し、供給は2万500戸と不足しており、中古住宅価格の上昇に大きく起因しています。
2040年までに、100万人の人口増加を見込んでおり、今後も引き続き不動産価格の上昇は続くと予想されています。
Author Profile
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元ツアーコンダクター。世界を周る中で、オセアニアのニュージーランドとオーストラリアを添乗したことがきっかけで、NZオークランドに移住を決意。淡路阪神大震災を経験したこともあり、1996年にオークランドへ移住実行。
「住居さえあれば暮らしは成り立つ」とワンルームマンションを購入したことがきっかけで不動産業界に参入。
20年間所属していた現地大手不動産仲介会社Harcourts(ハーコウツ)から、2018年創業の新しい不動産仲介会社Arizto(アリスト)Ltdに移籍。デジタル化社会・SNS時代に適合した独自システムを活用しながら、新時代の不動産コンサルタント業務に従事。精力的に活動している。
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